新潟県三条市は11月22日、燕三条地場産業振興センターで令和元年度成人式を行った。例年通り「春分の日」の3月25日の予定だったが、新型コロナウイルスの感染防止のため8カ月、延期したが、出席者は前回811人のほぼ半分、422人にとどまった。
感染防止対策を徹底して行った。「新型コロナウイルス感染症に係る施設利用及びイベント等実施方針(暫定版)」を策定してそれに基づき、対象地域に住む新成人には、イベント参加カードに住所や名前を記入してもらい、知事が不要不急の外出自粛を要請している札幌市に住む新成人には出席自粛を求めた。
これまでの成人式は、式典、アトラクション、記念撮影の流れだが、今回はアトラクションを中止。式典では国歌斉唱を演奏を聴くだけの国歌吹奏に変えた。会場では出席者の検温と手指消毒を行い、新成人はマスクを着けて出席した。
実際は感染リスクが最も高いのは成人式そのものよりも、式典の前後に会場ロビーや正面玄関に密集して大きな声で話している場面。新成人が会場に到着するとできるだけ足を止めずに着席してもらい、式典が終わったら同様にそのまま屋外へ出るよう職員が拡声器で呼びかけて誘導した。
ことしの新成人の対象者は1,083人、出席は男210人、女212人の計422人で出席率は38.9%。前回は77.2%だった。イベント参加カードの記入は東京33人、大阪3人、沖縄はゼロだった。
3月の方が大学などは春休みで出席しやすい、感染防止で出席を敬遠した、式典だけなら出席しなくてもいいなど、新成人にはいろいろな判断があったようで、出席者の大幅減につながったようだ。
出席できない新成人のために式典のライブ配信を行った。配信中はピークで283人が視聴し、24日正午までに3,500回を超す再生があった。
三条市長に就任したばかりの滝沢亮市長は、初めての式辞。担当課が用意した原稿を手直ししてのぞんだ。滝沢市長は、新型コロナウイルスで日常生活の変化を余儀なくされ、人々の心は疲弊し、うつむきがちになっっているが、「きょうわたしはこの場所に立ち、皆さんの顔を見て、皆さんの目を見て断言する。皆さんはしっかり前を見ている、しっかりと未来を見ている」と信頼した。
困難が立ちはだかるときもあるかもしれないが、自身もそうしてきたように「周りの人たちに助けを求めても大丈夫」で、どれだけ大変でつらいときも、心のなかにある強い気持ち、強い決意、未来への強い希望、挑戦する気持ちをもち続けてほしいと求め、「わたしを含め、きょう参加しているわたしたち全員は皆さんとともに、皆さんと一緒に明るい未来をつくっていけることを本当に本当に楽しみにしている」と前途に期待した。
新成人代表の謝辞で三条市環境課主事の矢沢匠さん(21)は、「縁、繋ぐ、絆と人のつながりを表す感じには糸へんが使われているように、幸せの糸を長くつなでいくのも、簡単に断ち切ってしまうのも自分しだいです。わたしたちは良き幸せを長く、強く、つむぐため、めぐり会えた大切な縦の糸への感謝の心をもち続ける」と述べた。