新潟県警燕署(根立一成署長)は1月26日、交通事故で川に転落しそうになっていた車から女性を救出した男性2人に署長感謝状を贈って人命救助への貢献をたたえた。
午後2時から燕署で贈呈式を行い、根立署長から作業工具メーカーの株式会社ツノダ(角田裕治社長・燕市吉田下中野)に勤務する長谷川雅則さん(57)=三条市安代=と会社員村山喜則さん(34)=三条市直江町=の2人に感謝状を手渡した。
昨年12月9日午後6時ごろ、燕署前の通りを東へ約750メートルの所の信号機のない交差点で車同士が出会い頭にぶつかる事故があった。女性の乗った軽自動車は「中の島橋」にぶつかって川に落ちる寸前で運転席側を上にして斜面で止まった。少しでもバランスを崩せば落ちる状態だった。
事故を発見したのは村山さん。退社して歩いて数分の駐車場で車に乗って暖気運転しているときに、車がぶつかる音を聞いた。そのときはそれと気付かなかったが、車を発進して帰り道で川に落ちそうな車を発見。「助けてー!」と叫ぶ女性の甲高い声が聞こえた。
運転席側のドアは開いたが女性は自力で上がれず、村山さんはひとりでは救出できないと判断。会社へ戻って長谷川さんに応援を頼み、一緒に車で現場へ戻り、村山さんがボンネットの方で車が落ちないよう押さえながら、長谷川さんが運転席側に上がり、女性の手を引いて引き上げ、消防車両が到着する前に救出に成功。女性にも大きなけがはなかった。
村山さんは「目の前の助けを求めて声を上げている状況にで勝手に体が動いた。命にかかわることだったので、すぐに対処できてよかった」、長谷川さんは「車が落ちてしまうんじゃないかというリスクがあったが、速く引き上げてやろうという一心だった」と振り返った。
根立署長は「万が一、このまま沈んだとか助けられなかった場合は死亡事故につながりかねない重大な事故だった。それを一瞬の判断で助けていただいて女性にけがもなく無事で大変、ありがたかった」と感謝した。