「節分」の2月2日、三条市・法華宗総本山「本成寺」で恒例の節分会大祈願会法要が行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で日本三大鬼踊りのひとつと言われる鬼踊りは中止せざるを得なくなったが、法要は感染予防策を講じて行った。
節分大祈願会は例年通り午前11時から事業繁栄、午後2時から厄よけの2回、本堂で行われた。昨年は2万人もの人出があったが、例年なら周辺の露店が並ぶ道は人をよけて歩くほどのにぎわいだが、さすがにことしは露店もなく人もまばら。午前11時からの法要は招待者40人に事業繁栄祈願は236件の申し込みがあったが、参拝者は一般を含めて200人ほどだった。
例年は本堂の内陣に僧りょと招待者、事業繁栄祈願の申込者でぎゅうぎゅう詰めになるが、今回は密集を避けるために内陣は僧りょだけ。ほかは外陣に並べたパイプいすに座るなどソーシャルディスタンスを確保した。
本成寺貫首でもある門谷日悠管長を導師に読経。読経のなかで門谷管長は「新型コロナウイルス感染症の収束を」と読んだ。3人の僧りょが内陣から外陣の参拝者に向かって払い清める木剣を打ち鳴らす間、初めて参拝者による焼香が行われた。本堂に入って正面と左右に焼香台を置き、滝沢亮三条市長から順に焼香した。
法要が終わると例年なら鬼踊りが始まるが、鬼踊りが終われば招待者や祈願者はお斎(とき)につく。ことしもどちらもないので、初めて門谷管長が参拝者に対してあいさつした。門谷管長は2月2日の節分は124年ぶりで、法華宗にとっても「宗祖日蓮大聖人の御降誕、すなわち鎌倉時代にお生まれになりましてから800年という記念の年、ありがたい年に当たる」と述べた。
「その鎌倉時代は天変地異、飢饉(ききん)、疫癘(えきれい)、元寇(げんこう)という国難の時代」。歴史を振り返れば同じようなことが繰り返し起こると言われ、「昨年来、新型コロナウイルスが世界中に蔓延(まんえん)し、人々の大切な命が失われている」として犠牲者に「哀悼の意を表し」、感染して闘病中の人に「一刻も早いご快癒を祈念して心からの収束を願っている」、「医療関係舎の皆さまには罹患(りかん)の可能性もあるなか懸命に治療に携わっていただき感謝する」。
「ことしの節分は誠に残念ながら本成寺の鬼踊りを中止させていただいた」が、本成寺へ足を運んでくれた来賓、事業繁栄祈願と地場産業振興祈願の人、一般の参拝者に礼を述べ、「一刻も早い収束を願い、来年の節分会では鬼踊りも披露され、多くのかたがたに新たなご縁を結んでいただきたい」と願った。
このあと本堂前に出て、鬼踊りの最後の4番の口上と、ほら貝、ドラ、太鼓の音が響く中、正面の回廊から門谷管長を皮切りに「福は内!」、「鬼は外!」と升に入った福豆を投げた。豆の回収が大変なので、豆を投げる方向にネットを張って遠くへ飛ばないようにし、階段によしずを並べて下に置いたプラスチックケースに豆が転がって入るように工夫した。
例年なら鬼踊りの鬼に目がけて豆を投げるところだが、ことしは目に見えない鬼、ウイルスに向かって豆つぶてで退散を願った。参拝者はもちろん、僧りょも全員がマスクを着用。コロナ禍時代の新しいスタイルの節分会だった。