東日本大震災からちょうど10年になる3月11日にあわせて、津波に加えて原発事故で大きな被害に見舞われた福島県で10日から13日まで一般社団法人LOVE FOR NIPPON(キャンドル・ジュン理事長)による復興支援イベント「SONG OF THE EARTH」が行われ。そのなかで、地元の子どもたちなどが夢や願いを描いた新潟県三条市の名物「三条六角巻凧」が空を舞う「夢の大凧あげ」が行われる。
この凧は、国内最北端のバナナの生産地である広野町で栽培、収穫されたバナナの茎の繊維を素材にした和紙をタケ骨に張り、5枚張りと呼ばれる縦2.85m×横2.12mと、3枚張りと呼ばれる縦2.20m×横1.75mのサイズの凧をそれぞれ5枚ずつ作った。
それらを福島に持ち込み、県内7地区の主に幼児から高校生や地元少年のサッカーや野球のチームに絵や文字で夢や願いを描いたり、紙を張ったりしてもらった。サッカー日本女子代表の川澄奈穂美選手が「夢は大きく」と筆で書いた凧や福島特産の県の鳥のキビタキ、南会津のゆるキャラ「んだべぇ」、新型コロナウイルス感染の収束を願ったアマビエもある。
揚げる凧は昨年、製作した2枚も合わせて12枚。10日は昨年9月に双葉町にオープンした東日本大震災・原子力災害伝承館、11日は楢葉町Jヴィレッジでそれぞれ午後3時ごろから揚げる。
LOVE FOR NIPPONは、2004年に新潟県中越地震が発生してから被災地で追悼イベント「Song Of The Earth」を行い、11年に東日本大震災が発生すると福島県郡山市に会場を移して追悼イベントを行ってきた。
2019年からJビレッジに会場を移し、キャンドルナイトをベースに音楽ライブやワークショップなどが行われる。昨年から大凧あげが企画されたが、昨年は新型コロナウイルスでイベントが中止され、関係者だけで凧揚げを行った。
凧を製作したのは、三条凧協会会長で三条市内で唯一、六角巻凧を作る須藤凧屋のの須藤謙一さん(53)。4日は仕事場で鼻緒を取り付ける作業を行った。「学校で子どもたちが夢を描いてくれた。その願いがかなうのは、凧が揚がったとき。うまく揚がってほしい」と期待を込めた。
LOVE FOR NIPPONの理事で新潟支部長の斉藤巧さん(44)は、「昨年は不完全な形で終わった。12枚の六角巻凧が一気に空に揚がるようすが見たい」と大空を舞う六角巻凧を夢見ている。当日は三条凧協会会員が会場へ出向いて凧を揚げ、会場の人たちにも凧糸を引いてもらって六角巻凧の魅力を体感してもらう。