東日本大震災からちょうど10年になった11日、被災地からの避難者を受け入れている新潟県三条市は犠牲者を追悼する三条市総合福祉センターで黙とうと献花を行った。
三条市は東日本大震災から5日後の16日から福島県南相馬市からの避難者を中心に会場の総合福祉センターをはじめ市内のサンファーム三条、体育文化センター、ソレイユ三条に避難所を開設し、最大815人の避難者を受けいれた。それから10年たった今も65人が市内に避難している。
東日本大震災の翌年から毎年、3月11日に行ってきたが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止した。今回は避難者など約50人が参列し、東日本大震災が発生した時刻、午後2時46分から1分間の黙とうをささげたあと、避難者代表で南相馬市出身の佐藤聖之さん(32)、滝沢亮市長に続き、参列者が順に白菊を手向けて献花。目をうるませている人もいた。
代表で献花した佐藤さんは元力士で、今は会社員だが避難してからしばらく三条市役所に勤務したこともある。「ちゃんこ佐藤」の愛称で地元で親しまれ、避難後に結婚し、父にもなった。
佐藤さんは「避難したからこそ結婚して子どもも生まれ、悪いことばかりではないと信じて一日一日、生きているが、思い返すとつらい気持ちになる」と振り返り、「東日本大震災という大きな教訓を得た身なので、しっかりと次の世代にこういうことがあったということを伝え続け、今ある当たり前の1日がありがとうだねということをしっかり伝えていければと思う」と言葉を詰まらせて話した。
滝沢市長は黙とうと献花の意義について「就任して初めて参列した。防災をはじめ避難されている方の気持ちなどを常に思っていかなければならないが、あらためてそうしたことを思い起こす機会になる」と話した。