評論家の寺島実郎氏が17日、新潟県三条市で講演し、「新型コロナウイルスが日本が抱えてた問題を本質的にあぶり出した」とし、「健全な危機感の共有」を訴えた。
三条商工会議所(兼古耕一会頭)主催特別講演会「日本経済・産業の新たな針路 − 地域の活性化に向けて −」で講演したもので、会議所会員ら約210人が聴講した。
寺島氏は、とくに経済産業が大きな問題があるのに、「日本はそこそこにうまくいってるシンドローム」があり、「アベノミクスで株も高くなって結構」といった感覚で、昨年春にそうしたことを話しても、ぴんとくる人がなく、「日本の経済界は、ゆるい楽観的な見方をする人が多かった」。
日本が今、置かれている状況に対してメディアなどから伝わる情報は「極めて薄っぺらで本当のことが伝わっていない」とし、「経営者で、しかも三条燕なんていう実体経済、地に足の付いた経済で踏ん張っている人たちならぼくの言っていることがぴんとくると思う」。
「このパラダイム転換に頭がキャッチアップできていない」と表し、世界のGDPに対する日本のシェアが1988年の16%から昨年は5.7%にまで下がった一方、日本を除くアジアは1988年の6%から2010年には25%に急上昇したデータを示し、「日本経済はびっくりするほどの勢いで埋没している」、「日本は終わったという目線で議論をふっかけてくる人が世界で増えている」、「それは誇張でもなんでもない。数字を見ればごまかしはきかない」と正しい現状認識を求めた。