新潟県燕市の研磨職人有志が20日、5年ぶりに市庁舎正面玄関にあるステンレス製の切り文字を再研磨し、以前の輝きを取り戻した。
この切り文字は2013年5月に開庁した新庁舎に設置された。正面玄関を入る手前の右の壁、高さ3メートルほどの所に市章とともに壁に「燕市役所」の4文字と「Tsubame City Office」の17文字が取り付けてあり、来庁者を迎えてくれる。
当時も研磨職人がそれぞれ文字を持ち帰って磨き、ミラー(鏡面)仕上げを施し、これ以上ないほどの高い平滑度で仕上げた。しかし風雨にさらされてステンレスとはいえ、さびや汚れがついたことから3年後の2016年に有志で研磨したが、それから5年。さびや汚れが目立ってきたことから、再び磨くことになった。
くしくもこの日は燕市が2006年3月20日に合併して新市政となってちょうど15年の合併記念日。約10人の職人が参加し、ハンドグライダーやリューターという工具を使って磨いた。燕市の研磨職人が使うのは固定された研磨機械がほとんど手で持つ工具を使うことはめったになく、ベテラン職人がその技術を若手に見せ、少しでも習得してもらいたいというねらいもある。
今回、研磨をしようと声を上げたのは、研磨歴約65年の鏡歳男さん(82)=燕市佐渡=。マイナンバーカードを取得しようと燕市役所を訪れたときに汚れているのを見つけ、研磨職人仲間に声をかけ、燕市と相談して新年度前に磨くことに。「さびが強くてなかなか大変。角があって取り付けがどうなってるかわからないし」と作業の難しさを話していた。