新潟県三条市は31日午前10時半から市役所で退職者辞令交付式を行い、この日で退職する定年退職の27人をはじめ39人に退職辞令を交付した。
所属部署の職員らが見守るなか、滝沢亮市長から一人ひとりに辞令と花束を手渡した。退職者は会場で振り返ると「長い間、大変お世話になりました」などと述べて頭を下げ、胸がいっぱいになってすぐに話し出せない人もいた。
滝沢市長は「きょうは決して皆さんのゴールではありません。三条市役所もっといい市役所に、三条市をもっといいまちに私たちはしていくので、これからも応援よろしくお願いします」と退職後の活躍にも期待した。
定年退職者を代表して近藤晴美福祉保健部長が謝辞を述べた。近藤部長は昭和54年に入庁し、42年間、奉職。2004年の7.13水害をはじめとした自然災害や今も対応に追われる新型コロナウイルス感染症対策を振り返り、三条市立大学の開学や図書館等複合施設の供用開始に期待した。
今は後藤夜半(1895-1976)の「ある日あり、ある日ありつつ春をまつ」の心境とし、「日常を過ごしている中で自然とそしてじんわり春を待つ感情が湧いてきています。この仕事をしていたからこそ出会えた市民の皆様、理事者の皆様、先輩、同僚、後輩の皆様の誰推一人かけても、私は今、この場に立つことはできませんでした。本当にありがとうございました」と述べた。
退職者は後輩職員の拍手に送られて退場し、記念撮影のあと退庁した。例年、市長と退職者で会社を行ってから退庁しているが、新型コロナウイルス感染防止のため、ことしは会食を中止。新型コロナウイルスの影響で参列できなかった退職者もあり、三々五々、退庁する少し寂しい退任となった。近藤福祉保健部長の謝辞の全文は次の通り。
近藤晴美福祉保健部長の謝辞
僭越ではございますが、退職者を代表して感謝の言葉を述べさせていただきます。
今ほどは、退職者それぞれに退職者辞令を頂きまして、公務員の鎧、三条市職員としての鎧がとかれ、肩の荷が下り安堵した気持ちが湧いてきたと同時に、少し寂しい感じも致します。勤務年数も経験も違う中で、共通しているのは、理事者の皆様、既に退職をされている先輩の皆様、多くの同僚、後輩、そして、仕事を通じて出会った多くの市民の皆様に対する感謝の気持ちであります。
そして、いつも進むべき道を照らし続けていただいた若山副市長さん、温かく見守っていただいた長谷川教育長さん同席のもと、昨年11月に就任され、5か月足らずの短い期間でありましたが、管理職としてお仕えし、毎日のようにお話をさせていただいた滝沢市長さんから退職者辞令を頂いたことは、実に感無量であります。
私は、昭和54年に入庁し、42年間務めさせていただきました。これまでを振りかえっての大きな出来事としては、行政の役割と市民の方々に寄り添うことの意味を再認識した平成16年の7.13水害を始めとした数々の自然災害、そして、なんといっても昨年から今もなお続いている新型コロナウイルス感染症の対応です。
新型コロナ感染症対応については、ちょうど1年前くらいから、国定前市長の元、国の対処方針を読み解きながら、総務部と共に施設利用・イベント等実施方針を策定し、全庁的に感染予防や水際対策等の取組をし、経済対策は経済部を中心に実施されているところであります。
今まで誰も経験したことない、目に見えない相手に対し、手探り状態で当たってきた感染症対策。
加えて、部を超えての三条エール飯の取組や短期間で実施した特別定額給付金の給付事務等いくつもの変化球が1年の中であったわけですが、多くの職員の頑張りで実行でき、それがまた、私の背中を押してくれました。
感染症対策以外の業務では、三条東公民館、ステージえんがわ、体育文化会館等大きな施設の建設に関われたこと、地域包括ケア総合推進センターの立ち上げ、下田地域に医師を招鴨し、診療所開設に至ったことなど本当に有意義な仕事をさせていただきました。また、男女共同参画やスマートウエルネス三条等全庁的なプロジェクトにかかわれたことは、本当に貴重な経験となりました。
そして、現在、進めている新型コロナ感染症ワクチンに関しては市長を本部長として全庁的な取組としてプロジェクトとして進めていますが、職員の皆さんには、今まで様々な全庁的取組の経験がありますので、必ずや多くの市民の方から受けていただけるような体制・対応ができるものと確信をしています。
他方で三条市立大学がもうすぐ開学を迎え、また、令和4年度供用開始に向け図書館等複合施設も建設中であり三条市は、こういったプロジェクトを中心に新たなまちづくりのステージを迎えることとなり、大いに期待するものであります。
三条市には、ものづくりに始まる多彩な産業基盤があり、そのうえに市民の方々の暮らしがあります。また、市民の方々には、様々な地域の活動をされている方が多くいらっしゃいます。そういったことが三条市の強みでもあり、今日の活力ある三条市の原動力となっていると思います。
でも、暮らしで困ったときは、周囲の人、各相談支援機関や市役所に気軽に相談できるそんな環境が重要だとも思っています。そういった環境づくりを今後よりよいものにしていくために職員の皆さんが汗をかいてくれると信じています。
今の私は、後藤夜半の句にある「ある日あり、ある日ありつつ春をまつ」の心境です。日常を過ごしている中で自然とそしてじんわり春を待つ感情が湧いてきています。この仕事をしていたからこそ出会えた市民の皆様、理事者の皆様、先輩、同僚、後輩の皆様の誰推一人かけても、私は今、この場に立つことはできませんでした。本当にありがとうございました。
結びに三条市の職員として誇りと自信を持ちますます活躍していただくことそして三条市の更なる発展を心から祈念いたしまして、謝辞とさせていただきます。私は、皆様と一緒に仕事をすることができて、本当に幸せでした。長い間ありがとうございました。