22日から7月11日まで酒田市写真展示館「土門拳記念館」(山形県酒田市)で特別展「亀倉雄策と土門拳 ー時代を創った二人の仕事ー」が開かれている。夏の東京五輪開幕を前に1964東京五輪の公式ポスターのデザインで知られる新潟県燕市出身のグラフィックデザイナー・亀倉雄策(1915-97)の作品と亀倉雄策が装丁、デザインした酒田市出身の写真家・土門拳(1909-90)の写真集やその収録作品と合わせて展示している。
企画展示室に亀倉雄策のポスター作品34点をはじめ、主要展示室には土門拳の写真集『風貌』(アルス・1953年)、『筑豊のこどもたち』(パトリア書店・60年)、『こどもたち』(ニッコールクラブ・76年)、『女人高野室生寺』(美術出版社・78年)、『大師のみてら-東寺』(同・65年)の収録作品111点が並ぶ。
亀倉雄策制作のポスターは、1964東京五輪の公式ポスターとなった赤い日の丸と金の五輪を大胆にデザインした作品や短距離走のスタートの瞬間を撮影した写真を使った作品4点を展示する。
ほかにもカメラのニコン、スキー場、インダストリアルデザイン会議、照明展覧会、さらに会場の土門拳記念館などPRするポスターを展示。グッドデザインや伝統工芸品のマークも亀倉雄策の手によるもので、昭和の日本のデザイン界を牽引した亀倉雄策の鮮烈でインパクトあふれる仕事を目の当たりにできる。
亀倉雄策は旧吉田町、今の燕市の出身。91年に文化功労者に選ばれ、2000年に旧吉田町の名誉町民となり、06年に合併で燕市名誉市民となった。土門拳は1974年に酒田市初の名誉市民となり、1980年に勲四等旭日小綬章受章を受けている。
2人は華道家の勅使河原蒼風(1900-79)とあわせて「3人兄弟」と呼ばれるほど、互いに無名だった20代から生涯にわたる盟友。酒田市が土門拳から全作品の寄贈を受けて1983年に開館した土門拳記念館では、入口正面の銘板とポスター・チケットは亀倉雄策が制作している。
今回の作品展は東京五輪に向けて昨年夏に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染が拡大し、東京五輪の延期も決まったため開催を延期してこののタイミングで開いている。
午前9時から午後5時まで開館、次の休館日は5月21日。特別展開催中の入館料は一般900円、高校生450円、小中学生は無料。問い合わせは土門拳記念館(電話:0234-31-0028)。