新潟県加茂市議会(滝沢茂秋議長)は27日、加茂市産業センターで市議会イベント「市議会の役割と議員定数」を開き、100人近くが参加してあらためて市議会について考えた。
3月に加茂市議会で日本公共政策学会理事でもある新潟県立大学の田口一博准教授を招いて勉強会を開いた。そのなかで田口准教授から市民向けのイベント開催の提案があり、講演会では理解が進まないだろうと、トークイベント形式にして今回、初めて行った。
田口准教授と滝沢議長が登壇し、市議17人も席を並べて参加者と向き合った。選挙権が18歳に引き下げられて高校生も有権者になったこともあり、市内3高校から生徒2人ずつ出席してもらったほか、近隣自治体の議員の出席もあった。
イベントでは市議会の役割、投票率の推移、議員定数など考える基礎知識から議員のなり手不足、議会への市民参加の意識などに話を進めた。
田口准教授は市議の報酬額の多寡について高校生の感想を求めるなど、参加者の声も聞きながら進め、後半では加茂市の現況をデータで示した。
一人当たり地方税が新潟市が近年16万円前後で推移し、燕市と三条市は12万円から13万円、それに対し加茂市や田上町は8万円前後にとどまり、2018年度は県内30市町村で27位、全国では約1,700市町村で1,421位の低い水準になっている。
さらに一人当たり市町村民税法人分でも新潟市、三条市、燕市とも12万円前後なのに対し、加茂市と田上町は約4万円と大きく開き、県内では29位、全国では1,446位となっている。
大きな利益を上げている企業が少なく、失業者は少ないもののいわばワークシェアリングのように仕事を多くの人で分け合っていることに原因があり、田口准教授は「これをなんとかしないと加茂市で働きたいと思わなくなってしまう」と暗い未来を予想。さらに「会社が納める市町村税が少ない」と指摘し、それを改善するには大きな企業を誘致したり大きな企業に成長させたりする対策を提案した。
参加した人たちは市議会を見直すと同時に、あらためて加茂市の危機的な経済環境などを数字で突きつけられ、自分のこととして深刻に受け止めていた。