新潟県三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)の春季例大祭に合わせて毎年5月14、15日の2日間行われる三条祭りは、新型コロナウイルスの感染拡大のため、ことしも中止が決まった。三条祭りの中止はコロナ禍で2年連続、さらに戦時中の2回に続いて4回目となった。
八幡宮の藤崎宮司、三条祭りを運営する祭典委員会の吉井直樹委員長、三条祭りの大名行列を仕切る三条若衆会の今井和人会長の3人が28日、八幡宮で記者会見して中止を発表した。
この1カ月前の3月24日、祭典委員会は15日の大名行列の規模を縮小し、神輿(みこし)は台車に載せて移動することにし、舞い込みは中止することを決めていた。最終判断は5月2日の祭典委員会で決定の方針だったが、参加団体から準備の都合があるため大型連休までに決断してほしいという声があった。
政府から緊急事態宣言が出され、県内でも新潟市に特別警報が発令されるなか、大型連休で人流が増えて予想され、三条祭りのころに感染拡大のピークを迎える可能性もあることから開催は難しいと判断し、大型連休前に中止を決めた。大型連休前に神輿を載せる台車を製作し、テストしようと考えていたところで、急きょの中止となった。
すでに神輿の台車は完成しているが、来年の三条まつりには大名行列が休むときに台車を置く馬の代わりに使う考えだ。14日の宵宮神事、15日の大祭神事は例年通り行う。ただ16日の神楽はなく、15日の神楽は午後1時からに前倒しで行う。
吉井委員長は「楽しみにされていた方も多く、なんとかやってよという意見もたくさんいただいたが、一方ではちょっと気をつけてほしいという要望もある」。来年は1822年(文政5)から現在の大名行列の形で行われるようになって200年を迎えることから、「ぜひとも来年には今まで以上の盛大な祭りを開催して200周年を祝いたい。そのための準備ということで1年間、猶予をいただいて来年に向けて頑張っていきたい」と気持ちを切り替えた。
また、大学やPCR検査で「せっかくこれからワクチンの接種が始まるところで感染が広がっているなかでの接種と抑えられているなかでの接種では、効率が全然、違うという話があった。できればとにかく感染を広げないでほしいという要望がある」「ここは厳に慎むべきという結論に至った」とも話した。
藤崎宮司は「昨年はなすすべもなかった」が「2年続けて早々と中止を決定するにはしのびないと、なんとかこの状況でやれればいいなと思っているところで、若衆会でこの時期でできる祭りを考えてくれた」と振り返り、ぎりぎりまで実施を想定して準備を進めてきたが、「中止やむなしということで残念だが、来年の二百年祭に向けてなんとか頑張っていきたい」と話した。
若衆会の今井会長は「この先、また同じような疫病や災害で形を変えてやるとなったときは、今回の準備をしてきた部分の資料を残すので、今回以上にスムーズに若衆会が動けると思うので、今回の経験を無駄にしないでやっていきたい」と前向きにとらえた。
三条祭りの中止は戦時中の1944年(昭和19)、45年(昭和20)、コロナ禍による昨年に続いて4回目。藤崎宮司は「やっぱり戦争なんですかね。これも。ある意味」と話した。