新潟県燕市宮町の戸隠神社で15、16日の2日間、行われる春季例大祭に伴う万灯(まんどう)は、新型コロナウイルス感染防止のため昨年に続いてことしも中止になったが、万灯で歌われる「伊勢音頭」を氏子町内に響かせたいと祭りと同じ2日間、地元の「つばめ産学協創スクエア」で初めての「萬燈(まんどう)ミュージアム」が開かれる。
万灯は縦横約3メートルの台車の中央に灯ろうを載せ、そのてっぺんから色とりどりの紙で作る花で飾った数十本のタケをしだれのように垂らしたもの。若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上では太鼓や笛で祭りばやしを演奏。演奏に合わせて万灯に乗った「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。
そして若連中が歌う「伊勢音頭」に合わせ、着物に化粧をして踊る女の子が祭りの花。町内を門付けに回る。大通りや境内で踊りを披露すると人垣ができるほどの見物客を集める。
万灯の運行は、木場小路万灯組と横町万灯保存会の2団体によって行われているが、昨年に続いてことしも中止。2年連続の中止となると、たとえ新型コロナウイルスが収束したとしても来年以降の継続にも支障が出かねない。
そんな危機感もあるなか、戸隠神社のあるサンロード宮町商店街に店を構え、木場小路万灯組の若連中でもあるレディースファッション&バッグ「かなや」の小黒猛さん(53)や「紅屋呉服店」の坂井栄一さん(49)、「飴屋本舗」の遠藤重樹さん(32)の3人を中心に「何もないのはあまりにも寂しい。何かできることはないか」と相談し、地元で万灯をテーマにした展示を企画した。
ひとりでも多くの人から会場に足を運んでもらおうとサンロード宮町商店街が主催し、戸隠神社、木場小路万灯組、横町万灯組の3者が後援する形にした。
坂井さんは「来年は通常通りの形で万灯ができることを願いながら、どんな形になっても万灯の雰囲気を味わってほしいと思った。燕には万灯があることをアピールしていきたい」と大勢の来場を呼びかけている。2日間とも午前10時から午後6時まで。