「戸隠神社」(新潟県燕市宮町の)の春季例大祭の15、16日の2日間、新型コロナウイルス感染防止のため昨年に続いて中止になった奉納行事の万灯(まんどう)に代えて地元の「つばめ産学協創スクエア」で初めての「萬燈(まんどう)ミュージアム」が開かれている。
万灯は色とりどりの紙の花で飾り車輪がついたもの。若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上で太鼓や笛で祭りばやしを演奏し、「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。若連中が歌う「伊勢音頭」に合わせて着物に化粧をして踊る女の子が祭りの花。町内を門付けに回る。
万灯の運行は、木場小路万灯組と横町万灯保存会の2団体が行っているが、昨年に続いてことしも中止になったが、何もないのではあまりにも寂しいと、地元のサンロード宮町商店街の商店主でもある若連中が、せめて祭りの2日間は町に祭りばやしを響かせようと「萬燈ミュージアム」を企画し、商店街が主催している。
メインは過去の万灯を撮影した動画の上映。十数本の動画をエンドレスで再生している。伊勢音頭を華やかな衣装と化粧で踊る女の子の姿をはじめ、万灯を引いたり、門外付けに回ったり、さらに本番に向けた練習や準備のようすを撮影した動画もある。
会場を訪れるのは主に地元の人。動画を見始めると懐かしくて目が離せず、席を立てなくなる。伊勢音頭が流れると一緒に歌い始める人も。企画した若連中のひとり、「紅屋呉服店」の坂井栄一さん(49)は「本当なら今ごろ万灯をやってるところだったんだけど」とうらめしそうに窓の外の青空を仰いだ。「伊勢音頭を聞いてるとうずうずしてくる。来年こそは絶対になんとか」と願っている。
映像のほかにも若連中や金棒、ひょっとこの衣装、万灯の模型、鉢巻き、写真資料などの展示も行っている。2日間とも午前10時から午後6時まで、入場無料。