15、16日と新潟県燕市宮町の戸隠神社(星野和彦宮司)で行われた春季大祭。新型コロナウイルスの感染防止のため祭りを華やかに彩る万灯(まんどう)や大名行列、露店も中止になったが、木場小路万灯組(清水守之総代)が万灯参拝奉納の1回だけ行った。
万灯は台車から色とりどりの紙で作る花で飾った数十本のタケをしだれのように垂らしたもの。若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上で祭りばやしを演奏し「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を振って踊る。
若連中が歌う「伊勢音頭」に合わせて着物に化粧をして女の子が踊る。大通りや境内で踊りを披露すると、人垣ができるほどの見物客を集めが、昨年に続いてことしも中止になった。
万灯は木場小路万灯組と横町万灯保存会の2つの団体が運行している。そのうち木場小路万灯組が、伝統伝承をと、宵宮の15日午後6時から戸隠神社拝殿で参拝奉納の1回だけ行った。
子役と若連中30人余りが参加した。「お玉」と呼ぶ踊り子は本来は6人のところ4人編成。1回だけだが、いつも通りの化粧と衣装で飾った。それにひょっとこ4人に金棒1人。若連中はそろいの浴衣と同じ生地で作ったマスクを着けた。
参道を歩いて拝殿前でおはらいを受けてから、戸をすべて外して開放した拝殿に上がり、太鼓と笛とともに歌う伊勢音頭が響くなか、あでやかな舞を披露した。真夏を思わせる暑さだったが、見学に訪れる近所の人もあり、目を細めていた。
星野宮司は、昨年のように何もない祭りはいやだという思いだったが、神社関係者が知恵をしぼってくれ、「地元、木場小路万灯組の皆さんがこのコロナ禍のなか、感染症対策に十分に留意して今、見事に歴史、伝統、誇りをもった万灯をご神前に奉納していただいた」と感謝した。