新潟県燕市は24日から26日までの3日間、市役所で65歳以上を対象とした新型コロナウイルスワクチン集団接種の予約手続き補助を行っている。初日24日は開始早々、数百人が殺到して大行列をつくる混乱になった。
燕市では4月19日からコールセンターとインターネットで集団接種の予約を受け付けている。しかし、電話が殺到してコールセンターにつながらない、パソコンやスマホがないので自分でインターネットで予約できなという声が多かったことから、予約手続き補助を行うことにした。
あわせて早期の接種完了を目指して全会場での受け付け枠を拡大し、接種日も追加。さらにこれまで接種日ごとに電話受け付け期間を区切っていたが、24日からすべての日程を予約可能にするといった改善を進めた。
予約手続き補助は特別なものではなく、市役所のつばめホールにパソコン11台を設置し、本人に代わって職員が予約手続きをパソコンで入力代行する。
午前8時半の開庁と同時にスタートし、そのときですでに数百人が来庁し、庁舎の外にも300人を超す長い行列ができた。まだ日も昇らない午前4時ですでに20人ほどが来庁。3密に配慮するどころではない混雑になった。市役所の駐車場は開庁前にとっくに満車状態となり、敷地の外にも車があふれた。
このところぐずついた天気が続いているが、この日は穏やかな陽気に恵まれたのは幸い。荒天ならさらに大きな混乱が生じていたはずだ。
予約は1時間100人と想定したが、実際にはそれをやや下回るペース。来庁者を長い時間、待たせられないので整理券を発行したが、午前9時に整理券を発行してもらっても実際の予約手続きができるのは2時間、3時間後になり、職員は整理券を受け取ったら、予定時刻のころにあらためて来庁するよう勧めていた。
予約手続きに必要なID、パスワードが書かれた書類も持参しなかった人もあり、健康づくり課の窓口で再発行している。そこでも多くの人が順番待ちしている。
行列に並ぶ人たちは口々に「いやいーやっ、めった(まいった)」、「逆に具合が悪くなるんじゃねーか」、「いっぺ来て殺到すんのがわかってんのに」とこぼした。
夫婦2人暮らしの男性は、「なんでもかんでも夫婦2人分の郵便物が届いて、民間じゃ考えられない」と言い、「インターネットがないし、コールセンターに電話してもつながらないのに来たら、これじゃ」と燕市の手法に首をかしげた。
予約手続き補助は、会場を多くすればそれだけ混雑を回避できる。となりの三条市ではワクチン接種の予約手続き開始当初から市内11カ所でネット予約の代行を行い、大きな混雑はなかった。
また、燕市では昨年5月に行って閑散としていた特別定額給付金の地区別臨時相談窓口でも市内3地区に1カ所ずつ、3カ所に設置しているだけに今回、混雑が予想されたのに市役所1カ所だけにした理由がわからないと話す人もいた。
希望した日時、会場を予約するため、少しでも早くと市民が来庁したのは当然だ。燕市では、かかりつけ医での個別接種の予約は、それぞれの医療機関に直接、連絡する形をとっており、個別接種の予約件数を把握していない。
そのため集団接種の希望者がどれだけ存在するのかもつかみにくく、現在の予約枠で希望者全員がワクチン接種できるかどうかもわからず、初日24日だけで残りの予約枠がすべて埋まってしまう可能性もある。そのため希望者全員分の予約枠を確保していると言い切れず、落ち着いてあとで予約してほしいとも言えないのが現状だ。
燕市としてはあるていどの来庁者の殺到は予想していたが、現実には予想大きく超えたようだ。ワクチン接種予約手続きの補助は、26日まで毎日午前8時半から午後5時まで。