2019年11月に閉店したスーパー「あいでん本町店」(新潟県三条市本町3)跡地に、スーパー「リオン・ドール」を展開する株式会社リオン・ドールコーポレーション(本社・福島県会津若松市)がことし9月中に仮称「三条本町店」を新規出店する。
31日にリオン・ドールコーポレーションの山口正幸常務執行役員と佐瀬誠一専務執行役員が三条市役所を訪れ、滝沢亮市長に新規出店を報告した。
あいでん本町店は、株式会社あいでんの事業停止に伴って同社が展開したほかの三条市内2店舗とともに2019年11月28日に閉店した。高齢化率が高い三条市の中心地に位置し、買い物難民が心配され、道路をはさんだ向かいでには移動スーパー「とくし丸」もやってきていた。
三条市内にリオンドールは、大崎店、北三条店、下田店の3店舗ある。2019年7月1日に加茂市の株式会社サンゴマートの事業停止で閉店した加茂市のサンゴマートメリア店、三条市のサンゴマート下田店もそれぞれリオンドールのメリア店、下田店としてリニューアルオープンさせた実績がある。
滝沢市長は冒頭、リオンドール出店について「本当に誠にありがとうございます」と頭を下げた。今春、三条市立大学が開学して82人が入学。学生にまちなかで交流してもらおうと家賃の補助制度を新設し、アパートを借りるなどして16人の学生が中心市街地に住んでいるが、近くにスーパーがないのが悩みの種。「本当に渡りに船を100回ぐらい言いたいくらい」と滝沢市長は重ねて感謝した。
山口常務は、中心市街地の活性化を図るとともに、買い物弱者が日常の買い物に困っていると聞き、「社会貢献が弊社の理念でもある。ビジネスだから商売として成り立たせなければならない。幸い三条には数店舗あり、さらにドミナント出店を進めて物流を効率化させることで、ビジネスとしても十分、成り立つと判断した」と説明し、「三条市民に愛される店づくりをしていく」と述べた。
売り場面積は下田店より少し大きい約230坪だが、「生鮮食料品、成果物、肉、魚、デリカテッセン、加工食品、日用雑貨などは十分な品ぞろえができると自信をもって言える」と山口常務は話した。
北三条店は2019年4月にオープンした。それから半年後にあいでん本町店が閉店したが、両者の距離は直線で800メートルほどと近く、あいでん本町店跡に出店する予定はまったくなかった。しかし、買い物に困っている住民を手伝えればと出店を検討し、十分、ビジネスになると判断して出店を決めた。
店舗はあいでん本町店の建物を改装する。従業員数は25人前後を想定し、地元で10人から20人の採用を予定。ほかにあいでん本成寺店とあいでん南店の店舗も空いている。山口常務は「店舗が空いている状況は承知している。人口が減っていくなかで校外の大きな店というより地域の小さな店でしっかり利益を残せる形で取り組んでいる。今回のケースがうまくいけばまた違った未来が出てくる」と話し、出店の可能性がゼロではないことを示唆した。
ついでにと滝沢市長は、三条市が帯織駅そばに造成した住宅団地「帯織街苑」の近くにスーパーがないという声があることから、そこへの出店も要望。同じようにサンゴマートの旧店舗を活用してオープンしたメリア店と下田店について山口常務は「なんとかビジネスとして成り立っている」と順調だ。