新潟県燕市は6日、新型コロナウイルスワクチン集団接種会場の吉田産業会館で、ワクチン保存用の冷凍庫の電源が切れ、管理温度を超えて使えなくなったワクチン600回分を廃棄したと発表した。県内でワクチンの廃棄が発生したのは初めて。
発表では、6日午前8時に市職員がこの日に使用するワクチンを冷凍庫から冷蔵庫に移そうとしたときに、冷凍庫の電源が切れていることに気づいた。確認すると冷凍庫の本体と電源コードの接続部分が緩んでいた。
冷凍庫の温度管理の記録データによると、5日午後2時49分で-24.7度、2時59分で-23.2度、3時44分で-14.6度と温度上昇が記録されており、2時50分ごろに接触不良が発生したと推測される。管理温度は-25度に設定しているが、6日午前8時ごろには17.7度になっていた。
米国のFDA(食品医薬品局)は、最近になってファイザー社のワクチンを2度から8度で1カ月間の保存を承認したが、それを大きく超える温度になった。
この冷凍庫は、燕市のツインバード工業製の可搬型超低温冷凍庫「ディープフリーザー」。その地元でワクチン接種の廃棄が発生する皮肉な事態となった。またワクチンの価格は1回分2,000円が基準とされていることから、約120万円分が廃棄されたことになる。
市では5日に実施したワクチン接種には、温度管理を超えたワクチンを使っておらず、6日のワクチン接種も適正に温度管理されたワクチンで行ったとしている。
さらに、これまでも従事者が定期的に冷凍庫の温度確認を行ってきたが、今後は時間を明確にし、定期的な記録用紙への記入や、最初と最後は会場の統括責任者と複数で確認することをルール化する。