新潟県三条市の三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)と三条商工会議所(兼古耕一会頭)が連携して9月28日、「知的ものづくりセミナーシリーズ」をスタート。全教員がリレー形式で講師を務め、大学の知的資源を広く発信し、企業側から大学にアプローチしやすい環境をつくっていく。
セミナーは毎月1回のペースで開き、さしあたり8月から来年1月までを計画。主に下旬の火曜の午後6時に開講。各回とも2人の教員が専門分野をわかりやすく紹介したあと、シャハリアル学長をまじえて2人の教員とトークセッションを行う。
三条市立大学は、工学と社会学を融合した専門分野があり、セミナーの聞き手にもその融合を感じてもらおうと毎回、2人の講師を組み合わせることにした。毎回、セミナー後は希望者を対象の約15分の施設見学ツアーを行う。
誰でも無料で受講できるが、申し込みが必要。定員は各回120人を予定する。シリーズに先駆けて8月3日午後6時から6時45分までオープニングセミナーを行い、シャハリアル学長が「What we do. 〜三条市立大学が地域にもたらすもの〜」をテーマに講演する。
22日、三条市立大学でセミナーについて記者会見が行われた。シャハリアル学長は、「新たな発想を生み出す鍵は、蓄積された経験の中に」という理念の取り組みのひとつとして「知識と経験を融合」した新たな「知の拠点づくり」を目指していると述べた。
工学技術の原理原則を具体的なコンテクストに落とし込み、実社会に役立たせるよう組み込む必要があり、大学の人材育成で「イノベーションのプロセス」を重視。このセミナーには、大学の知的リソースを地域に紹介することと、企業陣と交流することで教員の研究者にありがちな「無意識のバイアス」に気付いてもらうことの2つの目的があるとし、「大学と企業がお互いのリスクを回避することが、持続可能な地域づくりにつながる」と期待した。
兼古会頭は、三条市立大学は志願者が多く高いレベルの学生が確保ができたことや対面授業を基本としたしっかりとした教育の実施など期待以上の成果をあげつつあることは喜ぶ一方、「地域や地場の企業に開かれた大学を目指していただくことも重要」とし、その観点からも今回のセミナーは教授陣の専門研究分野を企業人にわかりやすく伝え、次のステップとして企業側から大学側にアプローチしやすい環境を作っていくための取り組みのひとつにしていきたいと願った。
また、一般的な大学の公開講座とは違い、シャハリアル学長は「教育的なニュアンスというより学術的な教員と産業界から来た実務系の教員がおり、それぞれたどってきた経歴が違う。学術的なおもしろさもあるが、ひとりのサイエンティストとして、あるいは産業人としておもしろい楽しい生き方をしてきている。その旅の道中にいるので、これまでの苦難とか、そういいったものも共有できればいい」。
兼古会頭は「教授陣をわれわれが知るためのきっかけに。将来、相談や共同研究するにもこの先生とこんなこともできるんじゃないかと感覚的にわかっていただけるきっかけにさえできればいい」と話した。
セミナーシリーズに関する問い合わせは、三条商工会議所産業振興課(電話:0256-32-1311)か三条市立大学地域連携キャリアセンター(電話:0256-47-5513)。各回のセミナーの概要などは次の通り。
オープニングセミナー
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回