23日、佐渡市赤泊から長岡市寺泊まで約42kmの佐渡海峡を9人のメンバーがリレーして泳ぐ横断に挑戦した岡山県のスイミンググループ「岡山酔魚(おかやますいぎょ)」は、13時間23分の好タイムで無事にゴールし、チャレンジの成功を喜び合った。
メンバーは自然の海や湖を泳ぐレース「オープンウオータースイム」の愛好者で、岡山県の男性6人と女性3人。22日夕方に「寺泊 きんぱちの湯」に集合。オーシャンスイムをサポートする団体「オーシャンナビ」にサポートを依頼し、午後10時に寺泊からメンバー全員が釣り船に乗り込んで出発した。
日をまたいで赤泊港に到着し、午前1時56分にスタート。船が伴走し、1人10分間を目安に9人が順番に交替して泳いだ。13時間23分のタイムで午後3時19分に寺泊港にゴール。スタートは雨だったが、天気はゆっくり回復し、ゴールは抜けるような青空が歓迎した。
目標タイムは15時間だったが、それより1時間半以上、短かった。オーシャンナビはこの1週間前にも佐渡海峡リレー横断泳をサポートしているが、そのときのタイム17時間40分より4時間以上も早かった。
ゴール直前で全員が海に飛び込み、記念写真も撮って一緒にゴールの感動を共有。上陸すると拍手し、「お疲れでした」、「疲れた」、「良かった」と互いに喜び合い、ほめ合った。
リーダーは60歳で水泳を始めた岡山市に住む建築設計業・北山峻さん(75)。オープンウォーターの魅力に引き込まれ、数年前にグアム島とココス島の間を泳いでから、オーストラリアのロートネス海峡、国内で津軽海峡を泳ぎ、海峡横断のとりこになった。
「ただただ、疲れた」と北山さんはにっこり。「こういう仲間がタイミングよく集まったというのは運」で、盲目の亀が水に浮いて木に出会うのは極めて珍しいという言葉「盲亀浮木(もうきふぼく)」で表現。それくらい奇跡的な出会いで集まった連中がお互いの運を試して日ごろの訓練を試した結果」と喜んだ。
今回の挑戦は津軽海峡より厳しく感じた。「次は(ハワイの)モロカイ海峡横断をやりたい」と早くも新たなチャレンジに思いをはせていた。
今回、事務局のようになって準備を進めたのは、メンバーの岡山市に住む会社員・中野将吾さん(43)。オープンウォーター歴は10年。音声SNSアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」で新潟県の人から情報をもらい、「めちゃくちゃ良くしてくれた」と感謝する。
第1泳者を務めた。挑戦を振り返り、スタートから波がきつく、9人は心が折れたが、みんなで励まし合いながら夜明けを待って泳いだ。途中も波がきついところがあり、雨も降ってきたが9人が無事に完泳できた。新潟に近づくにつれて天気がよくなり、海も穏やかになり、最後になって天候が味方してくれ、すごく良かったというのがみんなの感想だったと話した。
中野さんにとって海峡横断は初めての経験だった。距離が長く、天候や波、コンディションが変わり続けるのが、オープンウォーターとは違うと思った。チームで励まし合い、泳いでいる人を応援しながら、また船の上で今後の針路や海のコンディションを携帯で天気をチェックしたり、いろんなことがチームとして励まし合ったり、声かけあったりがいちばんのだいご味と思ったと言う。
ひとりで参加するイベントとは違う。「とりあえず今は風呂に入りたい。そこから考えたい」と心地いい疲労感を味わっていた。横断のようすはオーシャンナビのFacebookページでも見ることができる