新潟県三条市で伝承される六角巻凧を使った三条凧合戦の伝統を子どもたちに引き継いでもらおうと28日、三条凧協会(須藤謙一会長)は三条市内の小中学校などに六角巻凧と凧糸、凧糸を入れるかごのセットをプレゼントした。
市内29の小中学校と特別支援学校に1セットずつ寄付した。凧は三条凧協会会長で須藤凧屋の須藤謙一さん(53)が製作した。縦212×横173センチの30枚張りの六角巻凧で、絵柄は月岡小学校だけ学校の希望で児童が描いた凧の絵を張ったほかは、須藤さんがランダムに武者絵を描いた。学校名と校章も描き加えた。
販売価格は1枚約5万円。凧糸とそれを入れるかごは約1万円。寄付にかかる費用は、六角巻凧は三条凧協会の先代会長で元三条市長、株式会社高儀の元会長の高橋一夫さん(84)、凧糸とかごは三条市で地元密着型スーパーを運営する有限会社マルセンの代表取締役、太田雅明さん(61)が協賛した。
三条市体育文化会館アリーナに29枚の三条六角巻凧をずらりと並べてお披露目したあと、29校のうちのひとつ、裏館小学校(小畑一二美校長)で贈呈式を行い、3年生の代表男女6人に三条城城主とされる三条左衛門尉定明の図柄の六角巻凧を贈った。
裏館小では毎年、3年生が総合的学習で三条の六角巻凧や三条凧合戦を勉強している。先に須藤さんが裏館小を訪れて児童に三条凧合戦の歴史やルールを話している。
裏館小に統合される形になった旧三条小学校では、凧揚げ遠足が恒例だった。今の裏館小には引き継がれていないが、寄付してもらった六角巻凧をなんらかの形で揚げたい考えだ。
高橋さんは「ただ単に寄付ではなく、三条の産業や歴史も話しながら学習を進めていってほしい」、太田さんは「有効に使ってほしい」と話していた。小畑校長は「子どもたちが自分で作った凧を揚げるなど学習を充実させている。ふるさと三条の人材育成の大事な学習の場になれば」と期待した。