新潟県燕市は4日、燕市総合防災訓練を行った。ことしは水害を想定して自助と共助を高めることを目的にまったく新しい形で行った。
これまでは市役所を会場に燕市の消防力を披露、観覧する形で行ってきた。しかし出水期でもあり、洪水を想定した地道な総合訓練とし、従来の観覧型の防災訓練はこれとは別に秋に行うことにした。
今回の訓練のポイントは、自助がマイ・タイムラインに基づいた水害時の避難行動の確認、実践。共助は、市民が互いに協力して行う避難所運営のノウハウの確認。燕市の西側を流れる大河津分水路が観測史上最高水位を記録した2019年10月と同じような状況を豪雨を想定し、警戒レベル4「避難指示」発令で市内15カ所に避難所を開設して訓練した。
一方で燕署や消防団は市内パトロール訓練、市職員は備蓄物資搬出訓練、消防団は水防訓練などを行った。
2年前の豪雨では、市内6カ所に避難所が開設された。今回、そのうちのひとつ、分水小学校に開設された避難所には、障害者を含め46人が訓練に参加。新型コロナウイルス感染防止対策も講じながら体育館で避難所設営環境の確認、授乳室やエアクリーンテントの設営、避難者の受け付け対応、段ボール式やテント式のパーティションの組み立てや配備などを行った。
2年前の豪雨では、分水小学校に約300人が避難した。当時、2時間ほど分水小学校に避難した近所の69歳の男性は、回覧板の呼びかけて訓練に参加した。男性は「当時を思いだすね。役所の方が一生懸命やっておられて。われわれは町内のグループだからなんだかんだいろいろ話してて。今は感染防止で間を空けないとだからなかなか面倒だね。分水の堤防を早くかさ上げしてもらわないと」と話していた。
会場を訪れた鈴木力市長は、「本当に大きな災害ではわれわれ職員だけでは手が足りない。職員も被害者になってるかもしれない。いろいろな交通で足止めをくらってる可能性もある。したがって避難所に集まった皆さんは、ちょっと言葉は悪いが、お客さまにならず自ら避難所のなかで仲間と協力しながら命を守る行動をとってほしい」と自助、共助を求めた。