新潟県弁護士会(若槻良宏会長)は12日、三条市と燕市それぞれと災害時の法律相談業務に関する協定を締結した。
この協定は、地震や風水害などの災害が発生した場合に、被災者に対する法律相談業務の体制確保を目的として市町村と新潟県弁護士会が協定を結ぶもの。市町村が法律相談会の開催場所の確保と相談会の開催を広報し、新潟県弁護士会もその広報や相談実績を市町村に報告する。
この協定に基づく法律相談業務は、被災者の費用負担はなく、新潟県弁護士会の報酬や経費はない。災害に備えて両者で情報共有や防災関連事業への連携、協力も行う。
新潟県弁護士会では、2016年に新潟県と協定を結んだが、新潟県との取り組みは広域的なものになり、今年度から災害に最前線で向き合う市町村との間で個別の連携協定の締結を進めている。先に6月1日に見附市、25日に新潟市と2市と同様の協定を締結している。
三条市では滝沢亮市長と若槻会長が協定書に調印した。翌13日が2004年に9人が犠牲になった7.13水害が発生した日。市民の防災意識が高まっているタイミングでと、この日の協定締結となった。
滝沢市長は、これまでもほかの自治体や民間企業と災害時における相互応援に関する協定、物資供給、応急復旧活動などに関する協定を締結し、もちろん災害時にインフラや物資も大事だが、「法律相談業務というハードというよりソフトの新しい形の切り口で協定を締結できるのは本当に心強く感じる」と感謝した。
若槻会長は、新潟県弁護士会は基本的人権の擁護と社会整備の実現を使命にしており、災害時は被災者に寄り添って被災者支援を行ってきたが「被災者支援はそのスピードが非常に重要で、スピード感をもって被災者を支援するには災害の復旧、復興の最前線に当たっている自治体との間で連携協定を締結して、万が一、災害が起こったときには、いち早く被災地へ入って、行政とともに被災者の支援をすることが重要と感じている」と述べた。
また滝沢市長も弁護士であることについて若槻会長は「心強く思っている」とし、災害時の法的支援については「十分、経験されていると思うので、災害が起こったらちょっと弁護士会にも声かけて相談会してみようと声をかけてもらえれるのでは」と同業同志の心理的なハードルの低いコミュニケーションに期待した。
滝沢市長は「信頼関係が私はあると思っているので、すぐいろんな形でお願いできる。市民のオンラインでのやりとりも浸透しているので、例えば三条地区の弁護士はもちろん、県内各地の弁護士からいろんな形でマンパワーとか協力いただけるのでは」とリモートを活用したアイデアも示した。このあと燕市でも同様の協定を締結した。