2020東京五輪で東欧のコソボのホストタウンとなっている新潟県三条市は16日、三条市体育文化会館で歓迎セレモニーを行って柔道選手団の事前合宿の受け入れをスタートした。
選手団は、ディストリア・クラスニキさん(女子48kg級・同級現世界ランキング1位)、マイリンダ・ケルメンディさん(女子52kg・リオ五輪同級で金)、ノラ・ジャコバさん(女子57kg級)、ロリアーナ・クカさん(女子78kg級・2019世界柔道同級で銅)、アキル・ジャコバさん(男子73kg級)の女子4人、男子1人の5選手にドリトン・クカさん(コーチ)、フラカ・ロジャさん(練習パートナー)の7人で編成する。
2019年に東京・日本武道館で開かれた世界選手権大会でも三条市で事前合宿しており、三条市からも関係者らが応援に駆けつけた。結果、ディストリア・クラスニキさん、マイリンダ・ケルメンディさん、ロリアーナ・クカさんの女子3選手が同メダルを獲得する好成績を収めた。東京五輪でも金メダル候補のケルメンディさんをはじめメダル獲得が期待される選手が名を連ねる。
東京五輪の事前合宿はコロナ禍で各地のホストタウンでキャンセルになっているが、コソボ柔道選手団は予定通り実施。ただ、市民との交流は中止し、歓迎セレモニーも関係者だけで行った。
選手団は柔道着を着て入場し、県立三条高校柔道部に所属し2段の滝沢亮市長も高校時代の名前の入った柔道着に黒帯を締めて参加した。市民の応援メッセージ動画を上映し、千羽鶴をプレゼントして激励した。
あいさつで滝沢市長は「コソボと三条市のさらなる友好関係の確立と皆さまの大活躍を祈念する」。先の世界選手権で会場へ応援に出向き、歓喜した三条市ホストタウン事業実行委員会の梨本次郎委員長は「感染症で現地で応援することはかなわないが、わたしたちホストタウンのみんなが皆さまのことを心から応援していることを忘れないでほしい」。
駐日コソボ大使館のアルバ・メフメティ臨時代理大使は「三条市やそのほかの場所にいる多くの友人やサポーターのおかげで、日本で一瞬たりと孤独を感じることはない」と述べた。
選手団を代表してコーチのドリトン・クカさんは、世界選手権の事前合宿を受け入れてもらったおかげで、「これまでで最高の結果を祖国に持ち帰ることができた」、「三条の皆さまの熱い気持ちがわたしたちに勇気を与えてくれた」と感謝した。
「東京五輪でさらによい結果を持って帰れることを大いに期待している。そのメダルはわたしたちの祖国に、三条の皆さまにささげる。コロナ禍が終わったあかつきには、また三条に戻ってきて祖国コソボと日本をつなぐ架け橋となるようなイベントをここで開催したい」と願った。
セレモニー後、金メダル候補のケルメンディ選手と日本選手が対戦した場合にどちらかを応援するかという質問に滝沢市長は「2日前の記者会見ではどちらもと言ってしまったが、きょう実際にお会いしてケルメンディ選手を応援することにした」、梨本実行委員長は「ホストタウンとしては日本中を敵に回してもコソボ選手団を応援したい」と話した。
選手団は20日まで三条市内で午前、午後と1時間半ていどの練習を続け、17日は柔道クラブ生徒の練習を見学。21日は激励セレモニーを行い、都内の選手村に専用バスで移動する。