新潟県燕市は15日、燕市産業史料館で東京パラリンピックの採火式を行い、人間国宝の金工家で燕市名誉市民の玉川宣夫さん(79)が製作実演で起こした火を燕市のパラアスリート坂田由香利さん(33)が聖火ランタンに移した。
玉川さんは鎚起銅器を製造する燕市の玉川堂で働き、のちに独立。とくに木目金(もくめがね)という手法で独自の作風を確立し、2010年に重要無形文化財保持者として人間国になった。02年に紫綬褒章、旭日小綬章を受けている。
採火式は関係者だけで行い、玉川さんは銅をたたいて打ち縮める作業と銅を柔らかくするために火で熱してから水に入れて急冷する「焼なまし」の作業を実演。その作業に使った炉の火をろうそくに移し、車いすに乗る坂田さんに手渡した。
坂田さんは高校3年生からパラ陸上を始め、2008年から17年まで計10回、全国障害者スポーツ大会に出場し、50m、スラロームでそれぞれ4回、優勝している。ろうそくを受け取った坂田さんは、その日を聖火ランタンに移した。
玉川さんは「パラリンピックの火が世の中を浄化させてくれることを切に願う。きょうは貴重な体験をさせてもらった」、坂井さんは「少しでも障害をもつ人が楽しくスポーツができればいいと思う」と願った。
燕市はモンゴルのパラアーチェリーのホストタウンになっているが、新型コロナウイルス感染防止のため中止になったが、鈴木力市長はモンゴル代表で出場するナムジルマー・ムンフバータル選手(29)とチムベレル・セレンゲー選手(32)の応援を呼びかけた。