2月26日に国登録有形文化財に登録された日本基督教団燕教会(新潟県燕市中道通2)に交付された登録有形文化財プレートが8月18日、燕市教育委員会から燕教会に伝達された。燕市内の国登録有形文化財はこれで11件目。
燕教会は燕市の中心部に位置し、木造2階建て切妻造り桟瓦(さんがわら)ぶきで前後に突出部がある。2階の壁に半円アーチ窓が並ぶ。
地元有志の久保田重松氏(1877-1929)が私財を投じて建設した。1930年(昭和5)に1階を保育園、2階を礼拝所として完成。翌11年に献堂され、初代伝道師が就任し、ことしは創立90周年の節目でもある。
設計者を示す資料は確認されていないが、久保田氏の口伝によると「近江八幡のボーリス師」に設計を依頼したとされる。日本各地で多くの西洋建築を手掛けたW.M.ヴォーリズ氏(1880-1964)の指すと考えられる。新潟県内でヴォーリズ氏が設計した現存する建物は日本聖公会高田降臨教会の1件しかなく、ヴォーリズ師の貴重な県内の存在と言える。
18日は山田公一教育長が燕教会を訪れ、牧師の田中弘子さん(60)にプレートを手渡した。外からも見えるように外壁に設置しようと考えている。
築90年で建物が古くなり、建て直しか補修かを検討してきたが、ことしになって長く守っていこうと意見がまとまった。90周年事業として昨年、トイレのバリアフリー化工事を行い、90周年記念誌も制作。国登録有形文化財の登録とともに90周年は燕教会の歴史のマイルストーンとなる。
田中牧師は県外出身でキリスト教を信仰していた。夫の仕事の都合で弥彦村へ移住し、日本基督教団の教会を求めて2003年から燕教会に通い、伝道師を4年間、務めてから牧師となって5年目になる。
田中牧師は「わたしたちにこの建物が与えられたのは、信徒の大先輩のおかげ。今いるわたしたちが大切に引き継いでいくことが大切。建物を補修して歴史にふれてもらい、こんな立派な建物がある誇りをもって愛されるようにしていきたい」と話した。