新潟県三条市の三条商工会議所(兼古耕一会頭)は19日、会員事業所や市内事業所の従業員やその家族を対象に新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施すると発表した。県内の商工会議所では初めての職域接種で、ワクチン接種の予約に空きがなくて接種が受けられない市外に住む人に朗報だ。
職域接種は9月10日(金)、11日(土)、12日(日)の3日間で1回目を行う。2回目はそれぞれ10月8日(金)、9日(土)、10日(日)、定員は各回1,000人で、計3,000人にモデルナ社のワクチンを接種する。
対象は三条市内にある三条商工会議所と栄商工会、下田商工会の会員事業所か三条市内にある事業所のそれぞれ役員、事業主、従業員とその家族で、かつ新潟県内在住で接種日までに16歳以上の人。接種クーポンが届いていなくても接種できる。
接種時間は午前9時半から午後0時半までと午後2時から5時半まで。19日に三条商工会議所ホームページ内に「ワクチン職域接種予約申込 | 三条商工会議所」を開設。予約申し込みを開始する8月23日(月)午前9時に予約申し込みページへリンクするボタンを設置する。予約締め切りは9月6日(月)午後6時だが、定員になった時点で締め切る。
三条市は28日(土)、29日(日)と燕三条地場産業振興センターで行われる大規模接種の予約枠が19日になってようやく28日分がいっぱいになったものの、29日分にはまだ余裕があり、予約の呼びかけに取り組んでいるほどで、日時や会場を選ばなければ三条市民は誰でもワクチン接種を予約できる。
しかし自治体によっては接種枠が足りず、接種を受けたくても受けられない人もいる。三条市外に住んでいても三条商工会議所の職域接種なら自身や家族が三条市内の事業所で働いていれば接種を受けることができるのはありがたい。
兼古会頭は19日に行った記者会見で、この職域接種は三条市が行うワクチン接種の補完で、加速化を図るためのもので、三条市の強力なバックアップを受けて県内商工会議所では唯一の実施とし、「新型コロナウイルスもデルタ株による第5波が猛威を振るっており、報道では新たにラムダ株も海外で感染が広がっているとされているので、ぜひ多くの事業所の皆さまから早めの職域接種をご検討いただきたい」と求めた。
また、近隣の商工会議所からも接種対象に加えてほしいと検討を求める申し出があり、「申し込み状況などを勘案して可能かどうか今後、検討していきたい」。地場産業は製造業が多く、「テレワーク等が難しい事業者が多く存在している。最近は家庭内感染が多発しており、ぜひこの機会に職域接種を利用してほしい」と繰り返した。
職域接種の実施に至る経緯について兼古会長は、地方自治体のワクチン接種の補完的な形で国から日本商工会議所に要請があり、さらに日本商工会議所から各商工会議所に要請があった。
当初は6月に話があり、7月から接種可能な状況だったが、ワクチンの配送が遅れ、「しびれを切らして待っていた」。やっと9月に送れるという案内が経済産業省から16日に正式な連絡があり、「今回の職域接種に踏み切った」と話した。
事業活動については、飲食サービス以外は以前と比較して、ある程度のところまでは戻ってきていると聞いているが、「この地域は飲食サービスも大変、大きい産業のひとつなので、この分野の業種については引き続き大変厳しい状況と考えている」。
職域接種によって「マスクをはずせない、外に出るといろんな制約を受ける。これがワクチンを接種したことで重症化が防止でき、人にうつす心配もかなり軽減すると、いろんな制約が軽くなる」、「これだけ患者感染者のことが多いと毎日報道されておりますので、ついつい萎縮がちになる経済活動も、この地域としていち早く感染者が減って実績さえ出れば、いろんな意欲も出てくる」と期待した。