刀剣を愛好する新婦が結婚式を前に23日、新潟県見附市の式場で鎌倉時代や室町時代の名刀を手に前撮りを行い、刀剣女子の本懐とも言える和装で真剣を手にポージングしてご満悦だった。
このユニークな前撮りに挑んだのは新潟市西区に住む加茂市出身の菊田孝義さん(37)と見附市出身の茉祐さん(30)夫婦。茉祐さんはもともと美術品鑑賞が好きで、友だちに誘われて刀剣の展示会へ足を運んだのをきっかけにその魅力にひかれた。2019年12月に発足した新潟刀剣女子会の代表に就く。
昨年12月に結婚届を出し、ことし9月に見附市の「ザ・ガーデンプレイス 小林樓」で結婚式を行うことになり、せっかく和装をするなら大好きな刀剣を持って前撮りしたいと、燕市の愛刀家に刃がついていない模造刀を借りたいと相談。しかし、愛刀家は「新潟刀剣女子会代表が模造刀ではいけない。本物を」と無償で真剣を撮影用に貸してくれることになった。
撮影に使った刀剣は、鎌倉末期の山城国(京都)の名工、来国光の太刀、室町後期の相模国(小田原)の相州住綱廣と銘のある脇差し、離れた距離からも映える柄やつば、さやなど刀装具が美しいものをと茉祐さんの希望で終戦直前に陸軍受命刀匠が鍛刀し、使われることの無かった馬場継清造之の新品の98式陸軍軍刀こしらえ入り刀。そして屋内での撮影に映えるラメのようにきらきらと美しい青貝微塵塗鞘の脇差と、美術館が所蔵するような名刀をそろえてくれた。
茉祐さんは白無垢(むく)で刀を持ち、カメラマンのリクエストに応えてポーズをとったり、自分で考えたポージングで写ったり。真剣白刃取りなどのポージングでは、羽織はかまの新郎も協力し、一緒に刀を持ったポーズも。和装に刀、そして小林樓の美しい庭園が見事に調和した。
刀にわずかな傷をつけただけでも高価な研ぎ代がかかる。茉祐さん真剣を手に緊張しながらも、ついついうっとり。これまでも何度か真剣を直に持ったことはあるが、「真剣は重くてきれい。それを日本庭園で撮影してもらえて満足」とにこにこだった。