東京パラ開会式で国歌斉唱の佐藤ひらりさん 応援してくれた人とともにかなえた夢 (2021.8.25)

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24日行われた東京パラリンピックの開会式で国歌斉唱の大役を務めた新潟県三条市出身の全盲のシンガーソングライター、佐藤ひらりさん(20)=武蔵野音大2年=は「5年越しの夢だったのでとてもうれしかった」と喜びと感謝でいっぱいだ。

開会式後に国立競技場で記念撮影する佐藤ひらりさん
開会式後に国立競技場で記念撮影する佐藤ひらりさん

ひらりさんは視神経低形成で生まれつき全盲。5歳でピアノにふれて音楽に目覚め、小学生にして地元プロスポーツチームのアルビレックスBB、BCで国歌斉唱した。

老人ホームや東日本大震災の避難所での慰問コンサート、あしなが育英会を通じたチャリティコンサートなどを県内外で演奏活動を年間20本ほど行うようになった。

9歳で初のオリジナル曲「みらい」を作詞作曲した。2013年にニューヨークのアポロシアターでアマチュア・ナイトに挑戦し、ウィークリー・チャンピオンを獲得。2019年の第34回国民文化祭で天皇皇后両陛下の前で国歌斉唱。今回は再び天皇陛下の前で国家を歌った。

東京パラリンピック開会式で国歌斉唱する佐藤ひらりさん

東京パラリンピックの国歌斉唱に「ふだんあまり緊張しないのに珍しく緊張した」とひらりさん。「国の代表として歌うので、言葉を大切にしっかり口を開けて歌うようにした」と国歌斉唱に思いを込めた。

コンサートではキーボードの弾き語りが多いが、国歌斉唱はさくら色のドレスでハンドマイクを持ち、立って歌った。歌に集中すると同時に「きれいに見えなければいけないので、立ち姿や手をどこに置くかにも気をつけた」。

「子どもからおとなまで、みんなに口ずさんでもらえるような曲を歌うシンガーになりたい。この曲をつくった人は目の見えない人という看板を下ろせるような、スティービー・ワンダーのようになりたい」と、ひらりさんの夢はまだまだ終わらない。

ひらりさんを二人三脚で支えてきたのは母、絵美さん(47)。SNSなどで東京五輪・パラリンピックでの国歌斉唱が夢と発信。前回の五輪でも「ひらりとテレビを見ていて絶対、ここで歌うよ」と誓った。

昨年暮れに開会式の出演のオーディションがあると知って参加した。それから連絡がなく、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、あやふやになってしまったのかと思っていたが、ことし4月ごろにキャストに選ばれたと連絡があった。

選ばれたというだけで役割は決まっていなかったが、6月になって国歌斉唱を任されることにがわかった。国歌斉唱で「君が代」の編曲、ピアノを担当したピアニスト、武部聡志さんからひらりさんのいちばんいい声が出るキーを選んでもらい、歌唱のアドバイスも受けた。武部さんはTwitterでひらりさんの「堂々としたパフォーマンスに感動しました。」と投稿した。

「開会式が終わってたくさんの人から良かったねと、自分のことのように喜んでもらった。国歌斉唱ができただけでなく、応援してくれた人に恩返しするという夢もかなった」と感謝する。

母の絵美さんと並んで
母の絵美さんと並んで

東日本大震災で三条市へ避難したの人の多くが、福島県南相馬市の出身。震災の翌年1月から何度も南相馬市へ足を運び、歌で励ました。南相馬市の人かもさっそくひらりさんの国歌斉唱を喜ぶ連絡があり、「ひらりの夢がいつの間にかみんなの夢になっていた」と話す。

明けて25日、ひらりさんは自身のブログを更新し、「国歌斉唱」のタイトルで夢が現実になったことに対して応援してくれた人たちに感謝の気持ちをつづった。三条市の滝沢亮市長はメッセージを出してひらりさんの快挙を祝福した。メッセージは次の通り。

【市長メッセージ】

佐藤ひらりさんの素晴らしい歌声と堂々した姿に心を打たれ、一晩明けた今 でも私の心に響いています。

開会式での国家斉唱は、5年越しの夢だったとお聞きしました。夢を叶えたひ らりさんの歌声に心揺さぶられ、勇気をもらった三条市民の方はたくさんいる と思います。今後も、ますますの御活躍を期待しています。

令和3年8月 25 日
三条市長 滝 沢 亮

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