新潟県三条市に本社を置く調理器具やアウトドア用品を製造するパール金属株式会社の代表取締役会長、高波久雄さん(80)は、80歳を機に記念財団をつくって社会に恩返しをしようと設立の準備を進めており、その初めての事業として今春、開学した三条市立大学の成績優秀学生に対する奨学金給付の支援を行うと30日、表明した。
高波さん個人として来年3月の「一般社団法人高波龍風記念財団」設立を目指している。教育、国際交流、文化振興など幅広い分野への支援を目的とする。「龍風」は高波さんの書道の雅号。
三条市立大学とは奨学金のほかに教育施設導入の助成を計画。ほかにも国際交流として留学生に対する奨学金、外国人技能実習生への助成、海外交流事業への助成、文化交流として美術展の開催、文化コンサートの主催、スポーツ交流への助成などに取り組む考えだ。
三条市立大学の成績優秀学生に対する奨学金給付は、返済義務のない奨学金とするが、対象者の人数や給付額などはこれから検討していく。30日、高波さんは三条市立大学で学生への支援を表明した。
高波さんは、1940年に生まれ、65年に創業してから55年になり、「本当に市民の皆さん、の地域社会の皆さん、いろんな方に大変、お世話になり、パール金属も順調に商売が進んでおり、今では業界でもトップクラスの会社に成長した。これも皆さんのご協力あってのこと」と感謝した。
三条市国際交流協会を長く務め、その事業で文化交流やコンサート、スポーツ事業などを行ってきた。「自分なりに三条市のためにやってきた。これからもこういう形で皆さんのために恩返ししようと記念財団をつくる」と記念財団に込めた思いを話した。
三条市立大学は今春、開学してばかり。アハメド・シャハリアル学長は「学術的な知識と企業がもつ経験、この2つを大切な資源としてとらえ、融合して学ぶという未来志向の大学づくりを日が追うごとに本格化してきた。無限の可能性のある学生たちが全国からここに集い、未来を的確に展望するように育成して、技術と仕組みを備えて社会に羽ばたいてもらいたいという大学づくりを考えている」とし、 「給付型の奨学金で成績優秀者を特待する目的で活用したい」、「非常に良い名誉ある奨学金ということだと思っている」と述べた。