新型コロナウイルスワクチンの運搬、保管用に開発した超低温冷凍庫「ディープフリーザー」を厚労省と武田薬品工業に大量納入したツインバード工業株式会社(野水重明社長・新潟県燕市吉田西太田)は、地域の速やかなワクチン接種の一助になればと3日、4日の2日間、本社を会場に職域接種の1回目を行っている。
2日間で約1,000人の接種を予定する。このうちツインバード工業の社員は300人足らずで、それ以外は地域の企業に従業員とその家族を対象に募った希望者だ。燕市内の株式会社遠藤製作所や森井紙器工業株式会社など約20社から希望があり、なかには1人で12人分を申し込んだ人もいた。
12歳以上の接種対象者なら接種クーポン券が届いていなくても接種を受けられる。2回目の接種は10月1日、2日。予診の医師はツインバード工業で手配し、接種は看護師など1日に2人が担当して15分刻みで時間帯を分けて希望者から来場、接種を受けてもらっている。
会場にはディープフリーザーを展示。接種後の15分間の経過観察のスペースでは、同社のプロモーション動画を上映している。
ツインバード工業で商品開発を担当する29歳の男性社員は「大規模接種に予約したけど希望者が多かったのか、受けられなかった。こうして職域接種で受けられるのはありがたい。自分はひとり暮らしだからまだいいけど、無自覚で誰かにうつすんじゃないかと心配していたので、少しは安心できる」と話した。
燕市内で働く燕市の34歳の男性は「ずぼらなので自分で予約するのがおっくうで。職域接種できたのはラッキーだった」と感謝していた。
ツインバード工業では、ディープフリーザーの納入で厚労省との付き合いが深まったこともあり、感染防止対策としてワクチンの早期接種が求められるなか、1日でも早くワクチン接種して地元で働く人たちから安心してもらおうと、職域接種に手をあげた。
当初は7月上旬に職域接種の予定だったが、ワクチン供給の遅れで先延ばしになり、約2カ月遅れでようやく実現した。納入したディープフリーザーが実際にワクチン運搬に使われた状態で初めてツインバード工業に戻ってきた。
燕市ではディープフリーザーの電源を喪失してワクチンを廃棄する事故があったが、ツインバード工業で同じようなことが絶対にあってはならない。「停電しても電力の供給を続けられるように無停電電源装置も用意し、社長室のとなりの応接室に鍵をかけて厳重にワクチンを保管している」と小林和則執行役員。「若い人から職域接種を喜んでもらえているようだ」と話している。