新潟県三条市のふるさと納税の戦略を立案、実行して寄付額25億円の実現の特命を滝沢亮市長が託した三条市CMO(チーフマーケティングオフィサー)、澤正史さん(41)に1日、辞令が交付された。
三条市は国定勇人前市長がふるさと納税の趣旨に明確に異を唱えた背景もあるが、結果的には同じようなものづくりのまちである隣りの燕市の寄付額の7分の1にとどまり、大きく水をあけられてきた。
指をこまねいているのではなく、三条市でも寄付額の増額を図ろうとその力を人材に求めた。ビジネス要素の強いふるさと納税には民間のアイデアや経験が必要と公募し、314人もの応募のなかから澤さんを採用した。
記者会見も行われた、滝沢市長は、澤さんがNetflixエンターテインメントジャパンに勤務し、ウェブマーケティングに幅広い知見や実績をもつ経歴などを紹介。「民間で培った知見や経験、ノウハウをいかんなく三条市のために発揮して地域経済の発展、三条市のさらなる魅力や認知度の向上に貢献していただけると確信している」と期待した。
続いて澤さんが自己紹介、あいさつした。三条市について澤さんは、東京から近くて観光のポテンシャルが非常に高く、商業施設も多くて住みやすい一方で、自転車でも自然あふれるところに行けると、引っ越し間もない印象を話した。
CMOとして、ものづくりや豊かな自然から生み出される世界に通用する強みがたくさんあることにふれ、「このような時代だからこそ人の温かみや温もりを感じる製品をふるさと納税を通して全国に伝えていくことで幸せを感じてもらい、その財源で三条市の人が幸せに心豊かに暮らせるような素敵な循環をつくりだしていきたい」と抱負を述べた。
三条市のふるさと納税について、「三条市にはすでに質の高い商品やおいしいものがあり、わたしの仕事としては、全国の皆さんに知っていただき、これ欲しい、これやってみたい、そして、買っていただくところまでをつくれれば、自ずといいものがあるのでファンになっていただける」と三条市の生み出す製品を高く評価した。
そのうえで、今後はそれらを伝える方法として、生産過程、生産者の思いなどのストーリーを何も知らない状態で、新鮮な驚きや感動をもって伝えることができることも移住した強みとして発信し、それらを行うために三条市民の協力で市内各地を周り、信頼関係を築いていく意気込みを示した。
質疑応答で澤さんは応募の理由について話した。40歳を過ぎて外資系のメディアエンターテインメント企業でやり尽くした感があり、この先の人生の半分を考えたときに、それ以外の選択肢から直感的にこれだと思った。三条市には、ものづくり、食べ物を含む豊かな自然を生かしたアウトドア、さらに三条市役所が市長を中心に組織としてチャレンジしていく姿勢があるところの3点の強みがあることから応募したことを明かした。
自身のこれまでの経験をどう生かすかについては、メディアで華やかな部分をやってきたように見えるが、実際は泥臭いことをやってきた。どうプロモーションするかの戦略の立案から実行するプロジェクトリーダーで自分でやるところまでやってきた経験から今回もゼロベースでいちから作り出していく案件なので、自分の培ったスキルや話がレベルアップの役に立てると感じているとアピールした。
具体的には、PRやマーケティングのテクニック的な部分から現在の掲載情報の拡充、ポータルサイトを効果的な活用、広告の打ち方、広告数を増やすなど、これから優先順位をつけて対応していく。
目標やスケジュールは、滝沢市長から来年度の寄付額25億円の実現を命題として掲げられた。その実現に向け、これから11月、12月がふるさと納税の書き入れ時となるため、即効性のある施策を年内は行い、昨年度の約7億円の寄付を上回ることを目標に動き出す。
そして長期的には25億円の目標の達成へ。目標達成の自信については、これまでとは違う業態だが、これまでも掲げられた目標は大体、達成できており、今回も達成するまで全力で走っていくと意気込みとあわせて目標達成にむけて「決して一人ではできないので、ぜひ皆さんから助けていただきたい」と市民や市内の事業所の方々へ協力をお願いするメッセージを述べた。