8月の東京2020パラリンピック開会式で国歌を独唱した新潟県三条市出身の全盲のシンガーソングライター、佐藤ひらりさん(20)=武蔵野音大2年=に3日、三条市初の市民栄誉賞が贈られた。
午前9時から三条市体育文化会館で行われた令和3年度三条市表彰式のなかで表彰されたもので、ふじ色のグラデーションの小千谷の着物を着た佐藤ひらりさんは滝沢亮市長から賞状を受け取った。
佐藤ひらりさんは「東京2020パラリンピック開会式での国歌斉唱をさせていただきましたことはとてもうれしく、わたしにとって一生の宝物となりました。このことを三条市の皆さまが応援してくださり、喜んでくださり、三条市初の市民栄誉賞をいただけましたことを心より感謝申し上げます。これからはふるさと三条市のことを広め、わたしの歌を通じてたくさんの人に発信していきたいと思っております」とあいさつした。
続いて佐藤ひらりさんは伴奏なしのアカペラで国歌を独唱。ホールに響き渡る美しい歌声は開会式を思い起こさせ、会場は大きな拍手に包まれた。
式辞で滝沢市長は、コロナ禍で不安に包まれているなかで「開会式での佐藤ひらりさんによる国歌独唱はわたしたち三条市民のみならず、多くの人々に明るい希望と大きな感動をもたらした。このたび市民栄誉賞制度を創設し、佐藤ひらりさんを表彰できることを三条市長として大変、誇らしく思っている」と佐藤ひらりさんの活躍を喜んだ。
表彰式後に佐藤ひらりさんと滝沢市長が記者会見した。佐藤ひらりさんは市民栄誉賞を受賞して市民の前で国歌を歌い、「本当にうれしく、しっかりと感謝を伝えながら歌を届けることができたと思う」とあらためての大役をこなした感想を話し、これからも「三条市のことを広め、発信していきたいなと思う」と思いを話した。
三条市は今回の佐藤ひらりさんの活躍をきっかけに市民栄誉賞を創設した。滝沢市長は「多くの市民から本当に感動した、ひらりさんに何かという多くの声が届いたので、わたしを含め市役所の中で新たに市民栄誉賞を創設しようと思った」と経緯を話し、「ひらりさん地震の次の夢があると聞いており、ひらりさん自身の次のステージに向けて三条市もしっかりバックアップしていきたい」とエールを送った。
これとは別に市長交際費で佐藤ひらりさんの名刺1,000枚を製作してプレゼントした。点字があるほか、4つの角のうちひとつを丸くカットして名刺を渡すときに向きがわかるように工夫した。
また、今回の三条市表彰式では、東京2020五輪関連で、カヌー競技カヌースプリントに出場した三条市スポーツ協会所属の當銘孝仁(とうめ たかのり)選手と三条市をホストタウンとしたコソボ共和国選手団が特別表彰を受けた。
三条市長を14年間務めて先の衆院選で当選したばかりの国定勇人氏が地方自治功労で表彰を受け、これまでの賞状を渡す側から滝沢市長から賞状を受けた。
■令和3年度三条市表彰 (PDFファイル: 237.2KB)