ものづくりのまちとして世界へも発信する新潟県燕三条地域の魅力を展示物で紹介する展覧会「燕三条ファクトリーミュージアム」が5日から21日まで旧野水機械製作所の廃工場(三条市西大崎1-1-18)で開かれている。
2013年に始まった新潟県燕三条地域の名だたる工場を開放してものづくりの現場を体感する「燕三条 工場の祭典」。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年はオープンファクトリーをやめてライブ配信を中心としたイベントを行った。
ここにきて感染症は落ち着いているが、感染症が広がっていることを前提にことしもオープンファクトリーは中止し、代わりに企画したのがこの展覧会。これまでイタリア、イギリス、シンガポール、台湾、東京など国内外で開かれた工場の祭典の展覧会の集大成と言える。
約2000平方メートルもある巨大で油のにおいが残る薄暗い廃工場をギャラリーに燕三条で生まれた製品と工場の祭典で撮りためた映像をハイブリッドで展示。燕三条で生まれた職人の技術による高品質な製品、燕三条の歴史文化、「燕三条工場の祭典」の歩みを紹介している。
製品やパネルを35の項目で展示する。製品は「曲尺」、「鉈(なた)」、「包丁」、「鋳造」、「銅器」などに分類し、開設を加えて展示。「洋食器」では燕市で製造された東京五輪・パラリンピックの選手村で使われたカトラリーやノーベル賞の晩さん会で使われるカトラリーも展示している。
「燕三条地域と燕三条工場の祭典の歩み」や燕三条で生産されてきた製品の変遷を樹形図のように表現した「燕三条の系統樹」などを展示。さらに会場のあちこちで巨大なスクリーンに工場で製品が生まれる現場の作業風景を撮影した映像を上映している。またオープニングではへら絞りと呼ぶ作業の実演も行った。
初日5日はオープニングセレモニーを行って開幕した。山田立実行委員長はあいさつで「日本中の人にご覧いただきたいが、未来の担い手となり得る子どもたちにぜひ見てほしい」と、学校の児童生徒700人を超すガイドツアーを予定しており、会期中に3回のライブ配信も行う。「ことしにとどまることなく、工場を起点とした活動を続けていく」と話した。
三条市の滝沢亮市長は「最近では修学旅行の行き先としてもオープンファクトリーが人気コンテンツになったのも、実行委員会をはじめ地域の力がどんどん発信できているから」、燕市の鈴木力市長はコロナ禍が続く「いろんな環境のなかでも常にこの地域の情報発信に取り組もうという実行委員会の皆さんの対応に感銘を受けている」とあいさつしたあと、3人で「開け、工場!」と声を合わせて工場のシャッターを上げて開幕した。
休館日の火曜の9日と16日を除く毎日午前10時から午後8時まで開館。入場無料だが、感染防止のため入場は事前予約制で1時間50人に制限する。ギャラリーツアーは会期中の土、日曜の6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)の各日午前11時半からと午後3時からの2回、約30分ていど行う。ライブ配信は5日(金)午前10時から、13日(土)午後2時から、20日(土)午後2時からの3回行い、1回30分ていど展覧会のようすを解説する。