新潟県燕市の市立吉田中学校(齋藤哲也校長)で9日朝、女子生徒が転落死した事故について燕市教育委員会は10日午後5時から燕市役所で記者会見した。このなかで女子生徒が「いじめられていた」と記載した遺書が見つかったことが明らかにされた。
記者会見には燕市教育委員会の山田公一教育長、鈴木華奈子主幹、吉田中学校の齋藤哲也校長が出席した。9日夕方に齋藤校長がお悔やみのため家庭訪問をしたところ、 保護者から自宅で「いじめられてた」とある遺書が見つかったと話を聞き、遺書を確認した。遺書が紙に書かれたものか、スマートフォンなどに記録されたものかは明らかにしなかった。
事故の状況については9日午前7時25分に生徒が教頭に人が落ちてきたことを伝えた。教頭が現場に向かって確認すると、生徒が倒れて口から出血していたため、救急車を要請する一方、教頭がAEDを施したが電気ショックの指示がなかったため、胸部圧迫による処置を施した。
救急車が到着後、 新大病院へ搬送しましたが、心肺停止状態だった。事件の可能性も含めて警察が到着し、捜査をした。午前8時前に母親が来校し、 校長から状況説明を受けたあと、家族とともに病院へ向かい、8時37分に死亡が確認された。
学校では10時から全校集会で校長が生徒に事故があったことを説明するとともに、情報をむやみに公開したり、憶測で動かないなどの話をしたりした。保護者には生徒に事故があったので帰宅することと、 後で状況に応じ連絡をすることについてメール配信をした。
再開準備のため9日、10日を臨時休業とし、 11日を再開日とした。遺書があったことから、学校は学級担任などから情報の聞き取りをし、 女子生徒らの生活アンケートや調査などの内容を確認していく。
今後の対応については、いじめ防止対策等専門委員会の第三者委員会を開き、 遺族の心情に配慮しながら学校で調査を実施し、再発防止策を講じる。10日は各学級担任が全生徒に安否確認と心のケアを目的とした電話連絡した。
10日午後7時から中学校保護者を対象に臨時保護者会を開催。生徒への心のケアとして、県にスクールソーシアルワーカーなどの派遣を依頼し、市担当者とともに11日からカウンセリングを行う。スクールカウンセラー等による相談室を設け、 生徒の心のケアに努める。
女子生徒は3階建ての校舎の3階のテラスから転落したと見られている。テラスに出るドアはふだんは内側からロックしてあるが、回せば誰でも明けられる状態になっている。齋藤校長は安全管理には難しいところがあるが、「子どもたちには開けた空間でほっとできる場所」と話した。
冒頭、山田教育長は「亡くなられた生徒に慎んで哀悼の意をご冥福を祈るとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げる」、齋藤校長は「(事故を)防ぐことができなかったのは痛恨の極みである。学校長としての責任を強く感じている」と述べた。