新潟県三条市で数百年続く六角巻凧を使った三条凧(いか)合戦の伝統を子どもたちに受け継いでもらおうと、三条凧合戦を主催する三条凧協会(須藤謙一会長)は、六角戦隊イカレンジャーも登場して三条凧合戦を映像で子どもたちが楽しくわかりやすく学べるDVD教材を作成して11日、三条市に寄付した。
三条市内29の小中学校と特別支援学校へDVD1枚ずつを寄付した。DVDは2部構成で、子どもたちがおもしろおかしく学べる「六角戦隊イカレンジャー」と、三条弁まる出しの「ベテランたちの座談会」からなる。
「六角戦隊イカレンジャー」は、はっぴにそれぞれブルー、グリーン、イエロー、ピンク、レッドの5色のマスクと鉢巻きを着けた5人で編成。その指導で六角巻凧の組み立て方や揚げ方、三条凧合戦のルールなどを学べる。
「ベテランたちの座談会」は三条凧合戦で最高技術賞を獲得したことのある三条越路組の東樹弘さん(85)、上町組の坂井雅弘さん(69)、東三条五月会の藤島弘さん(70)のベテラン揚げ師3人が三条小町会の味田麻里さん(45)の司会で三条凧合戦への思いを話し合う。
三条弁は子どもたちには難しいので、標準語の字幕もつけた。2部を続けて再生しても20分もかからないので、気軽に鑑賞できる。
三条凧合戦の未来を子どもたちに託そうと、6月にも三条市内の小中学校などに六角巻凧と凧糸、凧糸を入れるかごのセットをプレゼントしており、それと同じ流れでDVDも完成しだい寄付する計画だった。費用は三条凧協会先代会長で元三条市長、株式会社高儀の元会長の高橋一夫さんが協賛した。
11日は三条凧協会から須藤会長をはじめ役員やイカレンジャーのピンクとブルーなど5人が市役所を訪れ、須藤会長から滝沢亮市長にDVDを手渡した。
三条凧合戦は三条地区のそれも中心地の昔の三条町を中心に行われてきた。須藤会長は三条凧合戦とは縁がなかった栄地区、下田地区でも凧揚げの講義や体験ができるような環境ができてきたことを喜んだ。
ことしも新型コロナウイルスの感染拡大で三条凧合戦は中止したが、ことしできなかった三条での全国大会も再来年に開催の見込みになっていることを話した。また、栄地区、下田地区でも凧組の発足を進めており、来年の三条凧合戦への出場を目指している。
滝沢市長はDVDを鑑賞して「子どもたちにも見やすく興味をひくような内容で、わたしもやってみたいと思うようにうまく編集されていた」と評価。DVDも栄、下田地区の学校にも配布され、下田地区出身でもある滝沢市長は「DVDを見てどんどん見てもらって下田、栄につなげていくのはうれしい流れと思う」と話していた。
DVDに収録した映像は、あとで三条凧協会のYouTubeチャンネルを開設して公開する。