新潟県・柏崎刈羽原子力発電所から5kmから30kmの緊急防護措置を準備する区域「UPZ」内にある燕市の渡部、真木山、幕島を対象に13日、原子力災害に備えた住民避難訓練を行い、対象住民400人近くのうちその1割にも当たる36人が参加した。
2年前に同じ地区で県の主催で行われた原子力災害に備えた訓練に参加した。昨年は初めて燕市独自で行い、ことしで2回目。住民一時避難訓練と避難所運営訓練を行った。
東京電力ホールディングスのリスクコミュニケーター3人も訓練に参加した。住民一時避難訓練では、原子力災害による放射性物質の放出を想定して防災行政無線で一時移転行動の指示が流れると、一時集合場所の参加住民は渡部集会所と真木山集会所に集合。そこから東京電力が31台を保有する車いす3台とストレッチャー1台を載せられる福祉車両も利用してバスで指定避難所の分水北小学校へ移動した。
原子力災害が発生したらUPZでは、新潟県の計画では、屋内退避したあと、放射線レベルがあるていどの基準まで落ちてから避難するとしているが、燕市では5km以内の予防的防護措置を準備する区域「PAZ」と同様に屋内待機せずにすぐに一時集合場所に集まり、それから避難場所に避難してもらうという考え方だ。
分水北小での避難所運営訓練では、避難スペースのゾーニングの確認、パーティションの組み立て、検温と健康のチェックのほか、東京電力ホールディングスが「柏崎刈羽原子力発電所の安全対策について」のテーマでミニ講座を行い、サーベイメーターによる放射線量の測定も体験した。
ミニ講座では、原子炉の炉心損傷が起きたときに格納容器内部の温度や圧力を逃がすために行うフィルタベントを中心に柏崎刈羽原発で実施されている安全対策などを話した。
サーベイメーターによる放射線量の測定も体験した。肥料、大理石、着火剤などを測定し、身の回りにあるものも放射線を出していることを確認。とくに肥料のリン酸は高い数値を示し「じゃあ、おら肥料どうしたらいいあんだてば」と困る農家の人もいた。
燕市の十河浩総務部政策監は避難所の持ってくるものの優先順位を「まず命、次は現金、貴重品、余裕があったら冬物のジャンパー、タオル、毛布」とアドバイスした。参加したのは年配の人が中心だったが、対象住民の1割もが参加するのは都市部では考えられない高率。それぞれの環境に置き換えながら訓練に集中していた。