新潟県三条市に本社を置く調理器具やアウトドア用品を製造するパール金属株式会社の代表取締役会長、高波久雄さん(80)が80歳を機に設立した一般社団法人高波龍風記念財団(高波久雄代表理事)は22日、今春、開学した三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)との奨学金事業で調印し、来年度から各学年の成績優秀者10人に返済不要の奨学金を1人月額4万円を給付する。
奨学金は年額で48万円。来年度は1、2年生の合わせて20人に給付し、4年生までそろうと40人になる。22日、三条市立大学で調印式を行って高波さんとシャハリアル学長が調印を交わした。
高波さんは8月にも奨学金事業の実施を表明。自身の書道の雅号「龍風」を冠した財団の来年3月の設立を目指したが、それより早くすでに11月12日に設立した。奨学金は高波さんが財団に寄付する3億円を原資とする。
調印式で高波さんは、「三条市のためにいろいろと貢献していきたいと財団を設立した。目的は学生に対する奨学金。昔から奨学金制度は良いことと思っていたがなかなか自分で実行できず、ようやく実行できた」とい喜び、「これから美術、コンサート、スポーツの交流を続けていきたい。そのなかで財団が活用できればと思う」と支援も求めた。
シャハリアル学長は「公立大学の制限、制約のなかで地元からの支援は何ものにも代え難い」と喜び、「奨学金を基礎にしてわれわれが学びを深め、この地域、この支援をいただいている高波さんの思いを知り、学生が支援を受けて成長し、地元にフィードバックするプラスのポジティブなループをつくっていけたら」と奨学金が大きな実を結ぶ起爆剤になることに期待した。
滝沢亮三条市長は、三条市立大学の初年度の入試倍率が前期日程5.4倍、中期日程31.1倍と高かったことにふれ、奨学金制度を財団と大学がしっかり連携し、「来年2月に2回目の入試についていも高い倍率を確保したいとあらためて決意した」と感謝した。