新潟県三条市の中央公民館の2階に展示されているベンガルトラのはく製。かつては1階にあったが、ことしのえとのとら年にちなんで4日、再び1階ロビーに移された。しかもガラスケースから出して展示しているので、今ならむき出しのベンガルトラに会える。
詳細はつまびらかではないが、燃料販売の株式会社朝日(三条市西裏館2)の今の会長の父、朝日才一郎さんが寄付したもの。1981年(昭和56)に三条市中央公民館が開館したときにはすでに展示されていた。朝日才一郎さんから当時の三条市の滝沢賢太郎市長の間の話で三条市が寄付を受けたらしい。
はく製に添えられた説明書きには、体長2メートル余りで、インドのアッサム州で1973年(昭和48)ごろ生け捕りにされたボス的な大虎とある。
以前は1階ロビーにガラスケースに入れて展示していたので、やや短足に見えるベンガルトラのはく製は市民の多くが知るシンボル的な存在だった。しかし、ロビーのスペースをとるからか、2階の通路に移動して展示され、市民の目にふれる機会も少なくなった。
ことしのえとがトラであることから、昨年11月までにリニューアル工事が完了したばかりの1階ロビーに飾ることに。いわばこれまで2階で冷や飯を食わされていたが、えとの年に短い期間だが久しぶりにスポットライトを浴びることになった。
4日は会場近くにあった三条小学校のOBなどでつくる山鳩会(石崎順一会長)、NPO法人えんがわ、公民館職員ではく製を2階から1階へ運んだ。
はく製なので中身は空っぽで見た目より軽く階段も楽々と下ろすことができた。はく製を台の上に載せ、タケやユズリハ、ナンテンなど門松のようなイメージの正月飾りも背景に設置した。
事業で外へ持ち出したことはあるが、館内ではずっとガラスケースに展示されてきた。しかしガラスケースは重く、運ぶのが難しいこともあり、今回はガラスケースなしの展示。さわるのは禁止だが間近で観察でき、正面から真っ赤な口を開け、目を見開いたベンガルトラは、今にもとびかかってくるような迫力だ。17日ごろ再び2階へ戻す予定なので、それまで期間限定の「むき出し展示」は見逃せない。
三条小跡地では図書館等複合施設「まちやま」の建設が進み、ことし7月に供用開始予定。はく製の移動に参加した山鳩会会長の石崎順一さん(68)=本町2=は、「山鳩会の活動のスタートとしてもいいんじゃないかと思って」と言い、「地域の人が寄れるような施設にしていきたいといのが今後の目標」と話していた。