燕市新春賀詞交換会が4日、燕市吉田産業会館で開かれた。燕市と市内の燕商工会議所、吉田商工会、分水商工会の3団体の主催で毎年恒例。ことしも感染対策を徹底して開催され、昨年の105人を上回る131人が出席した燕市の産業界の1年をスタートした。
主催者あいさつで鈴木力市長は、前日の箱根駅伝で優勝した燕市出身の3年岸本大紀選手の活躍から話した。コロナ禍で影響を受ける飲食業を対象にしたフェニックスクーポンの発行、給付金の交付、米価下落の助成金交付など昨年、燕市が進めた独自の対策を振り返った。
ワクチン接種は2回接種が対象年齢の91%に達し、県内初の電子図書館、県内初の読解力育成プロジェクト、さらにイノーベーション支援、まちなか再生事業といった新しい取り組みを進めた。
東京五輪パラリンピックの選手村で燕市産の「おもてなしカトラリー」が使われ、燕市が連携する東京ヤクルトスワローズは20年ぶりの日本一となり、「全体を通した振り返りは印象深い1年だった」と評した。
ことしの十干十二支の「壬寅(みずのえとら)」の意味を説明。「ことしこそ1年、頑張って長く厳しい冬を越えた先には、フェニックス燕、必ずや華々しく大きく空を飛び立てる年にしたい」とし、そのための取り組みを話した。
3回目のワクチン接種のスケジュールを説明。ことしの大河津分水通水100周年で建設に尽力した人たちに朗読劇で思いをはせ、産業祭の開催で分水の恩恵に感謝。さらに記念植樹や大河津分水を活用した新しい観光ルートの取り組みを始める。燕市PR大使のフルート奏者、本宮宏美さんに大河津分水をテーマにした曲の制作を快諾してもらい、本宮さんがつくるオリジナル曲をテーマソングに通水100周年を盛り上げる。
ことしは燕市の総合計画、都市マスタープラン、まちづくりマスタープラン、教育の基本計画と大河津分水通水100周年に符号するような形で主要な計画を改定する年でもある。SDGs、環境社会の形成を進める。8月をめどにコンビニ店で各種証明書が交付できるようにし、市内の主要な公園にスマートライティングを導入する。
ふるさと納税は昨年は12月の段階で40億円を超えることができ、「ちょっと胸をなでおろしているところ」とし、ふるさと納税に携わる職員がSNSで評価された投稿を紹介。「ことしが市民の皆さまにとって希望あふれ、幸多い年となるよう祈念する」と話した。
燕商工会議所の田野隆夫会頭はあいさつで、年1回の燕商工会議所と吉田、分水、弥彦の各商工会の情報交換会では、会員企業が減り、活動が難しくなっているという話が出ることにふれた。政府による持続化給付金を含め、あらゆる補助金の政策を手伝い、申請対象にもれがないように会議所職員に一生懸命、頑張ってもらったと感謝した。
燕商工会議所には1,810社の会員があるが、田野会頭自身もそのうち100社くらいしか知らず、会員大会でも9割以上の人の名前と会社が一致しない。本当に困っている会員は会議所に相談に来る会員ではなく、何を相談すればいいかもわからない会員なので、職員から会員の会社をくまなくまわってもらった。
その取り組みが非常にありがたく、補助金などの支援策を教わったと会員から喜ばれた。ただ一方で退職した職員による不正行為もあった。
京セラ創業者の稲森和夫さんの経営哲学なども紹介。燕市の昨年のふるさと納税が40億円を超えたことについて、昨年度は49億円で、燕市に残るのは「真水で25億円以上。燕市に本社がある企業で税引き後、25億円以上の利益を上げている会社は1社もない」。
「皆さん一生懸命、知恵をだし、情報交換して新しいチャレンジをしていく、いい年にぜひしたいと思っている」、「会員企業の皆さんも市役所に負けないくらいの利益を出せる会社が燕市から誕生してほしいと強く願っている」と求めた。
世界中から部品を調達するようになり、半導体に代表されるように一部の部品が入らないために商品を納められない問題が各方面に出ており、「国内回帰もこれから進んでいくのではないか」。
ことしは選挙イヤーでもある。4月に市長選、5月に知事選と県議補欠選、7月に参院選、10月に燕市議選があり、「何かと気ぜわしい年になるかと思う」が、産業界が元気を取り戻して活躍できる1年にしていただきたい」と期待した。
来賓祝辞で経済産業副大臣兼内閣府副大臣の細田健一衆院議員は、国の事業復活支援金や事業構造改革の補助金やものづくり補助金、IT支援補助金など多くの支援制度の活用を勧めた。経済産業省だけでも通常の本予算の予算規模は1.2兆円ていどのところ、今回の補正予算だけも5兆円と巨額を計上しているが、感染状況を踏まえるとそろそろ終了。ゼロゼロ融資も新規の申し込みは終了している。
地元選出の国会議員として地元から問題提起されている国道116号、289号のバイパスや働きやすい環境づくりなどに鈴木市長や桜井甚一県議とともに取り組むとし、「長く不透明で先の見えない状況だが、こういう状況だからこそさまざまな商売の期待もあると考える。皆さまにとって素晴らしい年となることを心から祈る」と述べた。
鷲尾英一郎衆院議員は、会員企業を回って会員の悩みを拾い上げた燕商工会議所の取り組みに、「原点をつかまえていらっしゃる。こういうことが燕市の力強さにつなっていると感じた」、「政府、与党もそうあらねばならない」と見習った。
今のひとつのキーワードは経済安全保障で、日本の企業が半導体を調達できないのに、アメリカの企業は調達できるという話があり、日本国内の調達の能力もあるが、政治的にも経済的にもアメリカはしたたかで、「商魂たくましい燕の事業者の皆さま、どうかわれわれもぜひサポートするので、ぜひことし1年、いろいろ市場拡大に努めていただきたいと思うし、皆さんの事業に不安がないように、私もしっかりとサポートして情報提供させていただきたい」と述べた。
桜井甚一県議は新型コロナウイルスの収束に期待し、「希望を込めて物事の解決が一気に進むと思っている」と話した。
さらに泉田裕彦衆院議員が星野伊佐夫県議に裏金を要求したとされる疑惑について、「県連が処分できるのは県議まで。したがって星野先生は擁立の責任があるとして離党届を受理した。泉田さんは党本部に権限があるので、われわれは上申をする」。
さらに「星野さんは弁護士の事情聴取が終わっているが、泉田さんはこちらからの連絡を10日以上もまったく無視されたあげく、日程調整も二転三転していまだ弁護士の聴取に応じてもらっていない。それなのに自分で弁護士を雇って自分を聴取してくれという展開になっているので、われわれの手は放れたと思っている」と説明した。
例年はこのあと、出席者は円卓を囲んで飲食して年賀のあいさつを交わすが、昨年に続いて感染防止のため飲食を中止したので、あいさつが終わるとすぐに帰る人も目立った。