「成人の日」の10日、各地で成人式が行われた。新潟県三条市でも新型コロナウイルス感染防止のため、2度の延期をへてこの日、ほぼ1年遅れで前年度、令和2年度の成人式を行った。
三条市は毎年「春分の日」に成人式を行っている。令和2年度の成人式は当初、昨年3月20日に行う計画だったが、感染拡大のため、9月20日に延期したが、それでも感染が収まらず、再び延期してようやくこの日の開催となった。
令和3年度の成人式は例年通り約2カ月後の3月21日「春分の日」に行う。今回は図らずも初めて「成人の日」の三条市成人式となった。ただ、1年近く遅らせたので、新成人の大半がすでに21歳になった。
対象者の男503人、女455人、計958人のうち、出席は男322人(64.0%)、女301人(66.2%)、計623人(65.0%)。ほぼ対象者の3人に2人が出席したことになる。
前回令和元年度の成人式は8月遅らせて出席は前年度より半減して出席率は38.9%にとどまったが、それよりは高かったものの、平成30年度の77.2%には及ばなかった。
今回も直前になって感染が急拡大を始めたが、三条市などではまだそれほど感染が増えておらず、まん延防止等重点措置が適用された地域からの参加はワクチン接種済みかPCR検査などの陰性判定を受けた人だけの参加に限って開催した。また、参加者にはできるだけ事前申し込みを呼びかけ、実際の参加者のほぼ半数の320人が事前申し込みした。
会場の燕三条地場産業振興センターでは、前回に続いて受け付けで参加者の検温や手指の消毒などを行い、アトラクションは中止して式典だけ実施。式典でも参加者は国歌斉唱や市民憲章も声を出さずに聞くだけにするなど感染防止対策を行う一方、初めて手話と要約筆記の情報保障を用意する新しい取り組みも行った。
式辞で滝沢亮市長はコロナ禍にふれて「この向かい風の状況はもう少し続くかもしれないが、この向かい風の状況を楽しんで、その間に力をため、勉強し、働いてください。そして友人の輪を広げ、知人の輪を広げ、新しい知識を得て、この三条を、新潟を、日本を、そして世界をもっといいものにしていくためには、皆さんの世代の力が、アイデが必要になる」と新成人に期待した。
前回の成人式で初めて式辞を述べた滝沢市長は用紙の原稿を読んだが、今回は「昼のニュースで新潟市長が成人式の式辞で紙を見ていなかったので、自分も読まないようにしようと思った」と滝沢市長。要約筆記はリアルタイムで入力していたので、滝沢市長の言葉通りの文字がスクリーンに表示された。
成人のことばで大崎中卒の長岡大学3年馬場竜一さん(21)は、成人式が2度の延期を余儀なくされながらも開催されたことに感謝し、三条市立大学と三条看護医療歯科衛生専門学校の開校、ことしは図書館等複合施設の開館、大崎山公園やグリーンスポーツセンターのリニューアルなどにふれた。
「数え出せばきりがないほど新しい展開が取り組みされている」とし、「生まれ育ったこの地への恩返しの気持ちを込めて三条市の今後の発展に未熟ながら協力したい」と述べ、「この成人式を節目に努力を惜しまず成長し、これからの社会に貢献していくことを誓う」と締めくくった。
成人式を祝うかのように終日、青空が広がり、ことしに入って最高、3月上旬並みの7.9度まで気温が上がるこれ以上ないという陽気に恵まれた。会場では感染防止のため席をひとつずつ空けて着席したこともあるのか、まったくと言っていいほど私語もなく静かだった。
春を思わせる陽気と成人式後に大人数で飲み会をするのが難しいからか、閉式から1時間半たっても会場前は帰ろうとしない新成人たちで開式前のようににぎやかだった。