新潟県三条市の八幡宮(藤崎重康宮司)で、14日夜から15日明け方にかけて奉納された大ろうそくをともし続けて商売繁盛や家内安全を祈る小正月の風物詩、献灯祭が行われた。
江戸末期の安政年間から始まったとされる年中行事で、ほかではあまり例をみない奇祭。午後7時から拝殿で神事を行ったあと奉納された5貫目(約18.7kg)33本の大きな和ろうそくに奉納者が神火から分化した火をろうそくに移した。
続いて裏手に建つ金山神社拝殿でも同様に神事のあと650匁(約2.4キロ)の約80本のろうそくに火をともした。境内には焼納場も設け、参拝者が持ち込んだしめ縄や縁起物のだるまなどを燃やした。
13日からの雪でそれまで土が出ていた境内は真っ白に雪化粧。20を超す露店の照明が境内を明るく照らし、参拝者がイメージする通りの献灯祭の雰囲気だった。
三条市の午前7時の気温は1.9度で、明け方までの最低気温は1.0度と氷点下にならず、今の時期としては冷え込みは弱かった。雪が舞うこともあったが荒れることもなく穏やかで、献灯祭が終われば年末年始のおとそ気分もすっかり抜けて1年の本格的なスタートだ。
毎年5月の八幡宮の春季祭礼「三条祭り」は新型コロナウイルスの影響で一昨年、昨年と2年続けて中止せざるを得なかった。藤崎宮司は八幡宮の神事のあと「何ごとも大変なことにならぬよう収まっていただいて、ことしの三条祭りはぜひとも開催したい」と決意のあいさつともなった。
また、金山神社の神事のあとはオミクロン株の感染急拡大で「次なる脅威が出てきたが、なにはともあれ献灯祭をこの寒いなか毎年ずっと続けてきて、やはり未来を照らす明るい光になってほしい」と願いを込めた。
最初にろうそくに点火した滝沢亮市長は「去年はこの状況が収まればいいというお願いの気持ちだったが、ことしはこの状況に打ち勝っていくぞ、負けないぞという強い宣言、宣誓を心のなかでし、そのサポート、後押しをお願いした」と話した。
拝殿の内陣は例年、参拝者が肩をくっつけ合うほどぎゅうぎゅうになって座っているが、ことしは感染防止で密集を避けるため、10人足らずに制限し、いすも用意した。この恩恵に預かったのが滝沢市長。初めて参列した昨年は正座で足がしびれてぴょんぴょん飛び跳ねてしばらくまともに歩けなかったが、ことしは余裕でにっこりだった。