離婚などにより国の「子育て世帯への臨時特別給付金」が、実際に子どもを養育しているのに届かない場合がある問題について、新潟県燕市は独自で支給することを決めた。燕市によるとこうした救済措置は県内では初めて。
鈴木力市長が28日の定例記者会見で発表した。この臨時給付金は、18歳以下の子どもに10万円を支給するもの。昨年9月分の児童手当受給者が対象になるが、基準日の9月30日以降の離婚などで実際に子どもを養育していない親の口座に臨時特別給付金が振り込まれる場合がある。
このようなケースに対して20日、岸田首相が自治体に検討を要請する発言があったことを受け、燕市では子どものために臨時特別給付金を使ってもらう本来の趣旨にのっとり、現実に子どもを養育しながら受給してない親に独自に支給することとし、26日の市議会臨時会で予算措置した。
鈴木市長は「国会の答弁でそれについて国の方でやるという発言があったので、今現在はその動きを注視しているが、いずれにしろ国がやる、やらないにかかわらず、燕市としては独自でやるという決意をした」。
さらに「この問題は元配偶者にすでに支給された給付金を返還させるのかどうか。それを前提として、やるのかどうかという所がポイント」で、二重払いのような話に国の制度設計が難しいとみる。
しかし「われわれは返還を前提としないで救済しようと決断した。われわれの決断通りで国が認めるなら、そのまま財源を補てんしてもらえばいちばんいいが、そこがだめなら単費でやっていく覚悟もある」。
「いちばんいいのは各自治体が独自の給付制度をやり、それを国の別の制度で財源補てんしてやるという制度を国が考えればこの話は一気に進むと思う」、「いちばん最初に岸田首相がおっしゃったように市に単独で考えてもらって、それをあとで別のコロナ対策の臨時交付金とかで補てんしてやるから大いに各自治体で頑張ってください、みたいな仕組みだとすぐに動くと思う」と提案も示した。
また、意図的に二重取りする可能性もあるが、「だからこそ国はだめだと言ってきて、そこは職員とも議論したが、性善説に立ちましょうということ」と結論。「申請書のなかに根拠となるものを添付するとかチェックするが、細かいところはこれから考えていく必要がある」と述べた。