新潟県燕市の鈴木力市長は9日、記者会見を行って令和4年度当初予算を発表した。当初予算は455億4,700万万円で、借換債を除く実質的な予算規模は前年度比13.9%、55億6,800万円の大幅増の384億8,531万円で過去最大規模となった。国補正予算を加えた執行ベースでは393億4,607万円。
予算増加の要因は、国費を活用したワクチン接種など感染症対策に加え、ふるさと納税を財源とする全天候型子ども遊戯施設整備や吉田トレーニングセンター「ビジョンよしだ」大規模改修などがある。
燕市分水地区に建設された大河津分水路がことし8月に通水100周年を迎えることから「『次の100年に向けて』先人たちの情熱をつなぎ、新たな成長の礎を築く」をテーマにした。
3つの重点施策として「フェニックス11+の継続による社会経済活動の回復」、「変化する社会環境に対応した地域社会のDXと脱炭素社会の推進」、「未来につながる新たな地方創生で地域活性化」をあげ、さらに大河津分水通水100周年事業として「先人から学ぶ」(685万円)、「分水路の恵み」(507万円)、「これからへつなぐ」(595万円)の3つに分類した新規事業を組んだ。
「フェニックス11+の継続による社会経済活動の回復」では 、新規で「燕応援フェニックスクーポン発行事業」(1億6.781万円)、「中小企業持続化支援事業」(7,501万円)、継続で「イノベーション拠点整備支援事業」(1億1,768万円)、「市内企業感染症リスク管理支援事業」(2,004万円)と「介護サービス事業所感染症リスク管理支援事業」(800万円)。
「変化する社会環境に対応した地域社会のDXと脱炭素社会の推進」では、継続で「燕版共用受発注システム導入促進補助金」(1,000万円)、新規で「SDGs(カーボンニュートラル等)促進事業(514万円)、「次世代エネルギー技術等活用可能性調査事業」(1,644万円)、「公園等スマートライティング設備整備事業」(1億2,700万円)、「指定ごみ袋のレジ袋強化事業」(30万円)。
「未来につながる新たな地方創生で地域活性化」では臨時で「第3次燕市燕市総合計画策定事業」(145万円)、新規で「全天候型子ども遊戯施設整備事業」(5億7,254万円)、「スケートボード場整備事業」(2,860万円)、「道の駅 国上リニューアル」(2,600万円)。
通水100周年事業では「先人から学ぶ」で声優朗読劇や人気長寿テレビ番組公開収録、「分水路の恵み」でものづくりみらい100年フォーラムや産業・農業まつり、「これからへつなぐ」で偉人漫画制作事業や桜並木復活プロジェクトなどを計画した。
3つの重点施策についてあらためて鈴木市長は話し、なかでも「ことしの最大の特徴かもしれない」とカーボンニュートラルの推進を強調した。地場産業の集積地は燕市にとってのアイデンティティーだが、大手グローバル企業がサプライチェーン全体でカーボンニュートラル、再エネ100%を宣言し、日本の取引先にも同様の取り組みを求めるなか、2030年までに日本の再エネ調達環境が改善しなければサプライチェーンからはずされ、工場の海外移転などのリスクが生じるおそれがある。
鈴木市長は、令和3年度にDXをひとつの柱とした取り組みをスタートしたが、令和4年度は「これに加えて、脱炭素社会、カーボンニュートラルということが、これからすごく重要になる」とし、燕市の中小企業が「カーボンニュートラルに取り組まないことによって切られてしまうかもしれない。そういう危機感を私はもつべきだと思うし、企業もそこにすごく意識をもっている」。
「脱炭素型社会、カーボンニュートラルにこの地域としてしっかり取り組む地域なんだよということを地域全体で発信することが、産業活動を支えることにもなということで、ここには新規事業オンパレードになっている」話した。
今回の「令和4年度当初予算のポイント」の資料では、初めて施策に当てはまるSDGsの17の目標のアイコンを表示して市の姿勢を示した。