新潟県三条市・一ノ木戸商店街の設立から約120年になる老舗果物店「カネギフルーツ」(三条市林町1)は22日、第31回優良経営食料品小売店等表彰(公益財団法人食品等流通合理化促進機構主催)で最高賞の農林水産大臣賞を全国3店のうちの1店として受賞。28日、滝沢亮三条市長に受賞の喜びを報告した。
独創的な経営技術を駆使し、優れた経営成績を上げている全国の中小の食料品や花きの小売店、食品流通の効率化、環境対策、地域活性化などで共同で展開する組合などを表彰しようと毎年行われており、前身から数えて令和3年度で45回目の長い歴史がある。
店舗設備の工夫、販売促進の手法、人材教育の取り組み、コストの削減策などの経営ノウハウを、業績向上に貢献しているか、独創性に富み仕組みとして確立されているか、広く普及できるビジネスモデルであるかの基準で審査し、農林水産大臣賞3店をはじめ34店の受賞が決まった。
カネギフルーツの受賞理由は、SNSを通じた入荷状況のお知らせやイベント企画の実施による客との活発なコミュニケーション、高級フルーツのフルーツサンドの販売で手軽に高級フルーツを体験できる機会の提供、スタッフ間で客の声をあえて手書きノートで共有しスタッフのやる気向上を図っていることなど。22日に東京都千代田区・法曹会館で行われた表彰式には、信賀さんが出席して表彰を受けた。
28日はカネギフルーツを経営する株式会社カネギ社長の信賀康宏さん(37)と協同組合一ノ木戸商店街の星野健司理事長、一ノ木戸商店街にある中心市街地拠点施設「TREE」の中川裕稀代表の3人が市役所を訪れて信賀さんから滝沢市長に受賞を報告。「受賞の手応えはなかった。いちばん上の賞が農林水産大臣賞をもらえることも知らず、受賞の手紙が届いて驚いた」と話した。
カネギフルーツと言えばフルーツサンドで広く知られる。3年前に発売し、約40種類を500円前後で販売し、高級フルーツを使ったものは時価で1,000円、2,000円になることもある。
発売当初はフルーツサンドブームのはしり。県内で販売されるフルーツサンドは缶詰の果物を使ったものが多く、はさんだ果物の量が少なかった。そこを高級なフルーツもいとわずぜいたくに使った。
当然、その分は価格に反映されるが、「絶対この値段じゃ売れないという声の方が多かった」と信賀さん。しかしそのこだわりは消費者のハートをつかみ、新潟市や長岡市からの来店もあり、ときには行列ができる人気に。
4年前に急逝したアイデアマンだった先代の父、一昭さんの影響は大きい。滝沢市長に次の夢を問われた信賀さんは「テークアウトでおいしかったという声をいただけるが、やっぱりその場でパーラーとかつくって、食べて、笑顔になっているところが見たいのが昔から変わらない夢」と思いを語った。
信賀さんは滝沢市長にフルーツサンドをプレゼント。天皇の誕生日ケーキにも使われるイチゴ「寒熟」をはさんだフルーツサンドにかぶりついた滝沢市長は「イチゴちごもすごくおいしいし、クリームもそれをひきたて、甘過ぎず、イチゴの元の甘さを邪魔せず、パンも柔らかくて。幸せな気分です」と絶賛した。
同席した協同組合一ノ木戸商店街の星野健司理事長は「お父さんがそうだったように、彼も一ノ木戸商店街のなかでリーダー的な存在。ぜひ引っ張っていってほしい」、一ノ木戸商店街にある中心市街地拠点施設「TREE」の中川裕稀代表の「商店街が面となって連携が取れいている。もっともっとこういうチームが広がっていくといい」と期待した。