任期満了に伴う新潟県燕市長選(4月3日告示・10日投開票)を前に、一般社団法人燕三条青年会議所(吉田鉄平理事長)は2日午前10時から燕市文化会館で立候補予定者の新人の元燕市職員の更科晃(さらしな あきら)氏(58)と現職の鈴木力(すずき つとむ)氏(61)を迎えて公開討論会を開き、それぞれの持論を聞いた。
一般社団法人公開討論会支援リンカーン・フォーラムの小池秀明氏が司会進行した。あらかじめ用意した設問は5つ。自己紹介、燕市の今後のビジョンや方向性、人口減少や人口流出の課題に対する具体的な施策、新型コロナウイルス対策、全体を通しての質疑について討論した。
新人と現職とあって、全体的には現職の鈴木氏はこれまで3期12年間の間、市長として取り組んできた施策の実績を示したうえで新たな考えや取り組みを訴え、それに対して更科氏は、6人の市長に仕えたなかでも鈴木氏は「いちばん素晴らしい」と持ち上げたうえで、自身の考えを訴えながらも市職員として35年間のキャリアも踏まえて鈴木氏の施策の問題点を突く形だった。
燕市の今後のビジョンや方向性について、更科氏はワーキングプアの解消を第一に挙げ、これを問題視しないのは「ちょっと疑問な人かな」と首をかしげた。
これに関連して更科氏が時給1,500円に引き上げる政策を掲げていることを鈴木氏に質問すると鈴木氏は地方公務員法に規定されているとし、近隣自治体の時給の平均は903円だが、燕市は925円で「決して燕市が近隣から劣っていると思わない」と返すと更科氏は「強権的につくられた相場は相場ではない」と考えを示した。
一方、更科氏が市長と市議会銀の任期を連続2期までに制限すると訴えていることについて鈴木氏は「それは憲法上、大丈夫ですかね」と質問したのに対し更科氏は「クリアすると思う」、「多選自粛条例はたくさんある」、「憲法のその職業選択の自由ので、逆に議員さんもずっとされてると、ほかの人がその職業を選択できない」と説明した。
最後にそれぞれステージの中央に立ってアピール。鈴木氏は、4期目のスローガンは「深化!進化!真価!輝く 燕」と示して「新型コロナからの早期回復と未来につなぐ地方創生というものに取り組んでいきたい」、「日本一輝いているまち燕市を一緒に目指してまいりましょう。私はその先頭に立って取り組む決意を固めている」。
更科氏は、江戸時代の医師、安藤昌益(あんどう しょうえき)は「立派なことばっかり言って、名言はたくさん吐くけども自分は耕さず、汗を流さず、汗を流した人の物をそれを作った人以上に貪り食べる人、聖人君子を不耕貪食(ふこうどんじき)の人と呼んだ。私は聖人君子にはならない」と述べた。
コロナ禍で感染者が増加に転じている時期のこともあり、ライブ配信も行い、アーカイブも残した。一般の来場者は20人余りにとどまった。ライブ配信中の視聴は260回あり、最大同時視聴者数は22人だった。