アウトドアブランドのスノーピーク(山井梨沙代表取締役・新潟県三条市中野原)は、14日、本社を置く三条市下田地区の敷地に設置した複合型リゾート「スノーピーク フィールド スイート スパ ヘッドクォーターズ」の開業式典を行った。翌15日、グランドオープンする。
2011年に竣工した現社屋は、キャンプフィールドやストアを併設する。敷地を約5万坪から約15万坪へ拡張して「衣食住働遊」のライブリューフィールドを創設し、その第1弾としてスパを建設した。
先にスノーピークとともにモバイルハウス「住箱-JYUBAKO-」を作った世界に知られる建築家の隈研吾さんが設計した。延床面積2,133平方メートル。
温浴エリアは日本三百名山のひとつ「粟ヶ岳」の絶景を見渡することができる。100%自家源泉で、開放的な露天風呂とテラス、ガラス張りの大開口の内風呂、一面ガラス張りのサウナエリアを備える。オープニング価格でおとな1人が1,600円、スノーピーク会員と地元の三条市、燕市、見附市に住む人は1,400円で予約なしで利用できる。
さらに、レストランに「神楽坂 石かわ」の石川秀樹氏の協力で生まれた「Restaurant 雪峰」、湯上がりどころとしてカジュアルに利用できる「Snow Peak Eat」を併設。宿泊施設は2タイプの「FIELD SUITE VILLA」を3棟と「住箱 -JYUBAKO-」4棟を設置する。
14日の開業式典は建物の前で行い、山井梨沙社長、山井太会長、隈研吾さん、清水建設の山地徹副社長があいさつ、県知事代理の橋本憲次郎副知事、三条市の滝沢亮市長、菊田真紀子衆院議員、国定勇人衆院議員代理の律子夫人が祝辞を述べ、木づちに代えてスノーピークのペグハンマーを使って鏡開きを行った。
隈さんは、キャンプのイメージで建物前面の軒に薪(まき)の天井を使ったことや内部に土を使って大地を感じられるようにし、風呂は外の自然が感じられる設計、材料、採光を採用。三条という場所を生かし、ものづくりのまち三条の職人たちの技や材料をいろいろな部分に使っていると紹介した。
「スノーピークのこれから野遊びをしようという哲学と三条のものづくりが合体したような施設ができた。コロナのあと、いよいよ自然にかえりたい、もっと自然に近づきたいという時代がやってくる。そういう時代を予見する、そういう時代へ引っ張っていくような施設ができたと思っている」と話した。
山井太会長は、本当は2011年に新社屋と合わせて温浴施設も開業したいと思っていたが、11年前なら隈さんとの縁がなく、清水建設にも建ててもらえなかったので、結果的に「ちょうどいい時期にオープンできた」と話した。
新社屋は1年間の売り上げが約30億円のときに17億円の投資だったが、昨年は275億円の売り上げで今回は25億円の予算なのでそんなに多大な投資ではないと話した。
20年に山井梨沙社長に社長を譲り、キャンプの力を使って衣食住働遊」という新しい領域に踏み出しており、それを体現する施設がHEADQUARTERSで、スパのオープンを皮切りに「いろんな未来を見ていただけるような施設にしていきたい」と話した。
山井梨沙社長は「この施設を通してあらためて新潟の豊かな自然、その先にある豊かな自然体験、体験価値を提供したい」と話した。さらに「この先の未来、20年、30年先に自然志向のライフバリューを体験価値、人生価値として届けるのが大きな会社のビジョンになっている。第1フェイズはHEADQUARTERSのキャンプフィールド、第2フェイズで験価値を届ける温浴施設、第3フェイズは“衣食住働遊”を通したライフバリューを提供できる体験型複合施設の開業も今後、検討している」と次の展開に目を向けていた。