新潟県三条市・県立三条高校(内田卓利校長)で11日、創立120周年記念講演が行われ、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した日本学士院会員で北里大学特別栄誉教授の化学者、大村智さん(86)を講師に「山梨からストックホルムへの道」をテーマに聴いた。
大村さんは1935年(昭和10)に今の山梨県韮崎市に生まれ、山梨大学を卒業。新種の放線菌の発見、さらにアベルメクチンとその化合物のイベルメクチンの発見、開発で感染症の治療法の研究に関する業績が評価され、2015年にノーベル賞を受賞した。その翌年16年にも三条高校を訪れており、生徒玄関のエントランスには当時、大村さんが「至誠天に通ず」と書いた色紙が飾られている。
大村さんは2歳のころの写真を映して農家の長男に生まれてから大学まで、大学を卒業してからノーベル賞受賞に至る経緯、開発したイベルクチンがどう社会の役に立っているか、そして高校生たちへのメッセージへと話を進めた。
高校時代はスポーツ、とりわけスキーと卓球に熱中した。化学者のイメージからは意外な子どものころの大村さんの姿に生徒はノーベル賞受賞者を身近に感じながら聴き入っていた。講演後は記念植樹も行った。