任期満了に伴う新潟県知事選が12日、告示され、自民などが支持する現職の花角英世氏(64)と共産と社民が推薦する新人の建築会社副社長、片桐奈保美氏(72)が立候補した。29日投開票。12日は両候補者とも燕三条入りして第一声を放った。
花角氏がイオン県央店前で第一声
2期目を目指す花角氏は、午後1時前からイオン県央店前で街頭演説を行い、約200人が集まった。来賓の「県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会」でにいがた観光カリスマのなぐも友美氏、自民党新潟支部連合会総務会長の桜井甚一県議、公明党新潟県本部の笹川信子三条市議、国民民主党新潟県総支部連合会の上杉知之氏、連合新潟の牧野茂夫会長、細田健一衆院議員、鈴木力燕市長、滝沢亮三条市長があいさつした。
牧野会長は働く者、生活者のために花角氏に何度も要請して聞き入れてもらい、コロナ対策への要請にもしっかりとした回答をもらい、雇用を守ることにも耳を傾けてもらったと評価した。
「次の4年間、まだまだやり残していることをしっかりやっていただきたい。連合新潟もしっかり花角さんを支えていきたい。住んで良し、訪れて良し、また働いて良しの新潟県にしていきたい」、「相手候補に3倍くらいの差をつけて頑張ろうではないか」と支援を求めた。
花角氏は、防災減災対策、医療環境の整備、柏崎刈羽原発再稼働は福島原発の検証結果で判断材料を得るまで検討しない、子育てしやすく女性が活躍できる新潟県、前に出ようとする人を後押しして経済の活力を生む、多くの人が新潟県に訪れるようにプロモーションして交流人口を拡大、行財政改革など7つの約束を訴えた。
4年前に米山隆一元知事が突然、辞任し、県政が混乱したことを、新潟丸の船長がいなくなって漂流を始めたと船に例え、「新潟丸のかじ取りを私に任せてくださいと申し上げた」とし、「さあ、この4年間、いかがだったでしょうか。船は安定してきましたよね。少しずつ確実に進んでますよね」と同意を求めた。
燕市にもスタートアップの支援拠点ができ、この2年間で90を超える企業が生まれたが、思いがけないことが2つ起きた。ひとつは新潟県の財政が危機的状況であることがわかり、「新潟丸の船底に穴が空いていた」。もうひとつは新型コロナウイルス「この大波も船に乗り合わせたみんなでなんとか乗り越えつつある」。
市町村長を船に乗り合わせたパートナーと思っている。しっかり対応し、息を合わせて連携していかなければ船は前に進まない。国とも連携しないと船の方向は定まらない。
県民と対話を重ねてきた。その対話のなかから新潟の可能性、潜在能力、大きく伸びる手応えを感じる。「安定した県政のもとで、皆さんと一緒に安全安心で暮らしやすい、経済に活力のある元気な力強い新潟を一緒に目指していきましょう」と「これからの4年間も私に県政、新潟丸のかじ取りを任せていただきたい」と求め、「勝つぞー」コールを行った。
片桐氏がイオン三条店前で第一声
一方、片桐氏は午前11時半過ぎからイオン三条店前で街頭演説を行い、100人近くが集まった。来賓の九条の会三条の島田信子事務局長、共産党の武藤元美三条市議、森裕子参院議員がそれぞれ応援演説を行った。
森氏は「新潟の皆さんの命と暮らし、子どもたちの未来を守るために勇気をもって立ち上がってくれた」とし、国は消費税で地域医療構想の名の下に病院の再編、病床の削減を進めてきたとし、「国の言いなりになる知事ではだめ」。
花角氏は原発再稼働を進めようとしているとし、ロシアの軍事侵攻でわかるように「原発は武力攻撃の武力攻撃の対象になる。この対策はまったく考えられていない」と危うさを強調。「片桐さんは堂々と今回の県知事選の最大の争点は原発再稼働と主張している」一方、「花角氏はあいまないなことを言わずに、原発をどうするのかはっきり言っていただきたい」と注文をつけた。
「原発をなくしてほしいという県民が草の根でつながったときに、片桐奈保美、新潟県で初めての女性の、そして民間の経営者の知事が誕生する」と支援を求めた。
そして片桐氏は、45年ほど前の柏崎刈羽原発の建設計画当時から反対し、「原発再稼働が知事選の争点と思っている」と始めた。ロシアの軍事侵攻を例に「柏崎刈羽原発は世界最大の原発。これを戦争のときにねらうという恐怖がある」が、「自分の宝物や財産全部捨てて逃げることができるのか」、「今、生きてる人間が再稼働を阻止するのが仕事と思った」と話した。
「4年前に花角さんは脱原発を目指すと言ったが、この4年間で果たして脱原発を目指したのか」と疑問視し、花角氏は検証委員会の話も聞くように話したが、「あれは福島の検証をしてもらいたいと頼んだので、新潟県の検証じゃないと言った」と指摘した。
一方で「病院を民営化したり、4つの病院の病床も削減すると言う」とし、「コロナが終わっていないときにどんどん地域医療を中央に集めて病院に行きにくくする。こんな不安なことはない」と不満を示した。
原発再稼働を阻止し、「余った財政で県民サービス、医療、福祉、教育に充てる方がいい」という考え。入札監視委員会を務めて12年になるが、「民間が購入している買い物よりも高いもの買っている」ため、「県は人件費と人間を削減しているが、問題は10何年間も同じ業者から同じ価格で交渉もしないで買っていること」で、「1兆3000億円の財政を1割でも減らして病院やほかの福祉に充てることができる」。
自身が経営者として「50年間も利益だを出すのは難しい。検証委員会はもちろんだが、入札監視委員の実績でこれを実行していきたいと心底、思っている」。
「国内はもちろん、国外も一生懸命飛び回って立派なセールスマンをやりたい」。3人の子どもを育てたが、「女が子どもを育てて働くことがいかに大変かということ」で「給食の無料化や学費の引き下げをやらないと」、「私は倹約した財政を、そこは惜しまず使おうと思って」と話した。
倹約の具体例としてすでに全国の16県にはない知事公舎の売却を挙げた。原発のないデンマークやドイツを評価し、「皆さん、私に力を貸してください。一生懸命、頑張る。どこまで民間の話が通用するかはわからないが、ひとつひとつていねいにやっていく」。
そして「私はガッツはある」とし、44歳で1建築士の資格を取り、52歳から新潟大学の法学部に行き政治学をとった。男女雇用機会均等法、少年法労働法、働く人の権利など学んだ。「頑張りますので、どうか最後は私を応援してほしい」と呼びかけ、ガンバローコールを行った。