15日の新潟県三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)の春季例大祭「三条祭り」は、大名行列のあと舞い込みが行われた。三条市の調べでは、日曜だったこともあり、2日間の入り込み客は8万1010人を数え、3年前の6万9700人より1割以上も多かった。
大名行列と舞い込みは、神輿(みこし)の運行に伴う行事。午前の神事で八幡宮の神殿から出した2つの御霊(みたま)を2基の神輿にそれぞれ納め、大名行列とともに市中を行幸してはらい清める。
神輿が八幡宮へ戻って御霊を戻すのが還御(かんぎょ)。それに伴う舞い込みは、先供、神馬(しんめ)、道祖神(どうそじん)、そして神輿2基と囃子(はやし)方の太鼓の順に拝殿の回りを走って3周し、拝殿へ駆け上がる。最後に子どもを肩車した親子が同様に3周して拝殿へ上がり、おはらいを受ける。
大名行列が「静」なら、舞い込みは「動」。神輿を上げようとすると拝殿で待ち構えた先供などが祭りが終わるのを惜しむように押し戻してもみ合いとなる勇壮な場面は、三条祭りのクライマックスになる。
新型コロナウイルスの感染防止のため、ことしの舞い込みは大きく形を変えた。3周せず走らず参道からまっすぐ拝殿へ上がるという静かな舞い込みに。それでも我慢できずに神輿を軽くもむ場面もあった。
そして肩車の親子が拝殿へ。待ち時間も間隔をとって整列し、拝殿へは1列になて上がった。拝殿では近年になって天狗(てんぐ)など道祖神会の会員が子どもの頭をなでて健やかな成長を願うのが慣例になっているが、接触で感染の恐れがあると判断。藤崎宮司の発案した子どもの頭の上に鈴を掲げて鳴らすというスタイルに変えて行った。
はっぴを着たり鉢巻きを巻いたりした子どもも多く、天狗をこわがって大泣きする子も。大名行列に参加した滝沢亮三条市長も子ども肩車して参加した。
すべての行事が終わると、大名行列を担う団体「三条祭り若衆会」会長の石川貴大さん(36)が「3年ぶりで三条の春をやって取り戻せ、皆さんありがとうございました」 とあいさつし、三本締めで幕を閉じた。
石川さんはあいさつの前から足がふらついていたが、三本締めを終わると腰が抜けたようによろけてへたり込み、3年ぶりの三条祭りのプレッシャーの大きさを感じさせた。その石川さんの労苦をねぎらうように、誰言うとなく石川さんの胴上げも行われた。
舞い込みが続くなか、三条祭り祭典委員会の吉井直樹祭典委員長は「3年ぶりの開催でこれだけ多くの人に来てもらって皆さんの笑顔を見られて最高だった」、200周年記念事業実行委員会の相場浩委員長は「いろんな心配事はあったが、みんなが楽しみながらできることを精いっぱいやっていい祭りだった」と高揚感を味わっていた。