語呂合わせで「ごみゼロの日」の5月30日、新潟加茂市とフリマアプリ「メルカリ」の連携による全国初のリユース推進事業をスタートした。リユースするために家庭で不要になったごみを一時的にストックしておく「メルカリエコボックス」の無料配布と、回収した粗大ごみをネットショップ「メルカリShops」で販売する2つの実証実験に取り組む。
愛知県の蒲郡(がまごおり)市とともに同じ日からこの事業をスタートした。「メルカリエコボックス」は、縦27×横37×高さ28センチのふたつきの段ボール箱。不要になっても捨てるのにはもったいないものを入れて一時的に保管する。
その後、メルカリなどフリマアプリで販売してもいいし、知人にゆずったり、フリーマーケットやリサイクル店で販売してもいい。加茂市が300箱を購入し、希望した市民200人に1人1箱ずつ無料配布するほか、地元の新潟経営大学と新潟中央短期大学を通じて学生に合わせて50箱、加茂商工会議所を通じて女性会に50箱を配布する。
3カ月後にアンケートを行って事業の検証を行うほか、3カ月以内に加茂市主催のフリーマーケットを開いて、メルカリエコボックスに保管したものなどを販売してもらう考えだ。
粗大ごみの「メルカリShops」で販売は、加茂市・田上町消防衛生保育組合(管理者・藤田明美加茂市長)が運営する清掃センターに持ち込まれた粗大ごみのうち、まだ使えるものや利用価値のあるものを所有者の承諾を得たうえで「メルカリShops」で販売する。持ち込まれた粗大ごみの中にどれだけリユース可能なものが含まれているかを3カ月をめどに検証する。
ことし1月に開かれたメルカリと自治体との連携に関するセミナーに加茂市が出席したのをきっかけに、加茂市のごみ処理の現状や課題をメルカリと情報交換するなかで両者の連携が形になった。
初日30日は加茂市役所で記者会見を行い、藤田市長と株式会社メルカリ(東京都港区)から会長室政策企画・麻空公美子さんとメルカリの新規事業の企画、開発、運営を担うグループ会社の株式会社ソウゾウ(東京都港区)の布施健太郎政策企画マネージャー、協力する2大学と加茂商議所が出席した。
加茂市長はその場でスマートフォンで「メルカリShops」への出品手続きを行い、ゴルフクラブセットやヘルスメーター、家庭用医学本、釣り用バッグなど11点を1点999円から2,500円で出品した。売り上げは組合の収益となる。また、2大学と加茂商議所にメルカリエコボックスを手渡すセレモニーを行った。
藤田市長はあいさつで、昨年10月に27年ぶりとなる加茂市総合計画を策定し、そこにある26の施策にはそれぞれにSDGsのゴールが結びついており、それぞれ向けた政策を展開していると話した。さらに清掃センターは築40年以上で老朽化が著しく、新設を表明したがそれには10年かかり、「今の焼却炉を1日でも長く維持するためにごみの減量化が避けて通れない」とこの事業が焼却炉延命の救世主にもなり、渡りに船だった。
さらに、「これらの事業を通じてリユースを市民の皆様にごみの減量化のひとつのカテゴリーとして認識してもらい、循環型社会の実現やごみの減量化の推進が図れ者と大いに期待している」と述べた。
ソウゾウの布施政策企画マネージャーは「この2つの取り組みを通じて市民の皆さまの意識の変容につながればいいし、ごみの減量化にもつながれば。加茂市民と協力して実現していきたい」と成果を期待した。